先週の為替は結局、1ドル=111円を挟んだ水準でほぼ横ばいでした。今月の円安トレンドは、先々週、1ドル=113円台(終値では112円台後半)でストップ。円高への揺り戻しがどこまで生じるかについて先週号で次のように予想。「最大111円近辺が下値メドになりやすいと考えられます。仮に111円からさらに下方へ(円高方向へ)進んだとしても、すぐに111円程度までは戻ってきやすいと考えられます」(※今週の為替見通し7月23日号より)。結果は、完全に、この予想通りの展開でした。毎日、110円台へと円高が進む場面がありましたが、すぐに11円に戻る値動きが繰り返され、週末もちょうど111円でした。
 
 さて、この夏の見通しについて。大雑把な見通しとしましては、円安に動いたとしても先日の高値112円台からせいぜい113円までが限界。どちらかというと注意すべきは円高方向への動きで、先週は予想通り、下落(円高)は「最大111円近辺まで」で踏ん張ったわけですが、今週以降もし、終値でも完全に111円を割り込みますと、そのままずるっと円高が拡大する展開も想定されます。とはいえ、特別大きな円高エネルギーを抱えているわけではなく、目先は最大109円台まで。109円台が強力な下値サポート帯になっています。万が一、一時的にさらに円高が加速したとしても108円台まで。つまり、この夏、何らかの円高要因やら何らかのショックやらが重なって、値動きが加速した場合でも下値メドは最大109円台~108円台と見ています。
 
 豪ドルも先々週のピーク(83.9円)からやや値下がり傾向で、先週末は1豪ドル=82円近辺でした。豪ドル円についても、何か特別、新たな展開に入ったわけでもなく、今年これまでの「お決まりのパターン」のような値動きですね。今年3月以降は、下値80~81円台、上値84円前後のレンジ相場が続いており、これほどきれいに下値も上値もほぼ一定の水準でその範囲内にガッチリ抑え込まれるレンジ相場も珍しいです(※通常、レンジ相場でも、途中ちょこちょこはみ出ることが多いです)。豪ドルがこの夏、下落に向かったとしても、第一に81円台、最大で80円台では強力に下支えされやすいと考えられます。
 
 さて、ミラクルな大暴騰が起きたメキシコペソ相場について。ひとまず大暴騰が終わって、落ち着きましたが、なお、年初来高値圏での推移が続いています。先週、一時的な反落は5.8円までで、週末は5.99円まで反騰するなど、メキシコペソを買いたい投資家が多く、買い圧力が強いことが察せられます。今週末には、重要なメキシコ政策金利発表が予定されています。経済指標だけを見れば、ここから(現在のメキシコ政策金利は7.75%)さらに追加利上げしてもよいのでは、という意見も出る可能性があります。ただ、追加利上げすべきとの意見が多数派となるかどうかは微妙で、普通に考えれば、現状維持(変更なし)が確率の高いシナリオ。利下げに転じる確率はほぼゼロ。さらに利上げするシナリオは確率が低いながらあり得なくもない。といった状況と見てよいかと思います。
 
 問題児のトルコリラについて。再三申し上げておりますように、世界的には株高で為替も比較的安定していて海外の投資家もリスクをとって投資することに積極的なので、メキシコペソが大暴騰したように、本来であれば、割安すぎるトルコリラがいつ急騰してもおかしくありません。が、トルコ政府が、これでもかと言わんばかりに、投資家に嫌われるような言動、トルコ経済にとってマイナスな政策を続け、そのスタンスを一切変えようとしません。先週も、アメリカが、強硬なトルコの外交姿勢(=2016年クーデター未遂事件にかかわったとされるアメリカ人を軟禁中)に反発して、トランプ大統領みずから制裁を課すことを示唆しました。この件も、経済協力を引き出すための外交カードとしてうまく使えばいいものを、トルコ政府は、かたくなな態度を変えません。チャート分析の観点では、重要なのはこの22円台(特に22円台後半)。5月に急落して以降の、安値サポート帯であり、ここを割り込みますと、最悪の場合、21円台そして20円台へ暴落するシナリオも考えられなくもありません。逆に、トルコ政府が外交および金融政策について、ちょっとでも柔軟な姿勢を見せて、23円台半ば~24円あたりの重要上値ゾーンを超えてくれば、この5月以降の安値圏で蓄積された相場エネルギーが、上昇エネルギーに転嫁され、大幅上昇へ向かうシナリオも十分に考えられると思います。(執筆者:為替王)(イメージ写真提供:123RF)