ドル円は大幅に下落し、一時は111円38銭まで円高が進む。トランプ大統領が、中国とEUは通貨を操作してきたとツイートしたことや、米利上げを懸念していると発言したことが材料に。ドルが下落したことでユーロドルも上昇。1.1739まで上昇したが、ユーロ円の売りが重石となり、勢いは限定的。

 株式市場は続落したが、3市場とも下落幅は小幅に。ダウは6ドル下落したが、2万5000ドルの大台はキープ。債券は大幅に売られる。長期金利も2.89%台へと上昇し、約1カ月ぶりの高水準に。ドル安が進み金は反発。原油も続伸し70ドル台を回復。


ドル/円   111.38 ~ 112.29
ユーロ/ドル 1.1662 ~ 1.1739
ユーロ/円  130.55 ~ 131.04
NYダウ   -6.38  → 25,058.12ドル
GOLD   +7.10  → 1,231.10ドル
WTI    +1.00  → 70.46ドル
米10年国債 +0.055 → 2.893%

本日の注目イベント

欧  ユーロ圏7月消費者信頼感(速報値)
米  6月中古住宅販売件数
米  企業決算 → アルファベット


 金融市場は再びトランプ大統領の自由奔放な発言に揺れています。前日の「利上げはうれしくない」発言に続いて、今度は「中国やEUや他の国々は通貨を操作し、金利上昇を抑えている」とツイートし、さらに「米国は不正な通貨操作や不利な貿易協定で失われたものを奪還していいはずだ」と批判しました。ドル円はこのツイートを受けて、112円台前半から111円38銭まで円高が進み、113円18銭まで上昇した分を僅か2日で吐き出した格好になっています。まさに「トランプリスク」です。

 また、トランプ氏は「米国は金利を上げ、ドルは強くなり、われわれの偉大な競争力を奪う。引き締めはわれわれが成し遂げたすべてを傷つける」と、FRBの政策に対しても批判した形になりました。これまで市場はトランプ氏が「金利高やドル高を望まない」ことは理解していましたが、それを簡単には口にしないだろうと考えていましたが、ここにきて貿易戦争を仕掛けただけではなく、金融政策や通貨の水準にまで「介入」してきました。残り4カ月を切った、11月の中間選挙を意識しての行動かと思われますが、FRBの独立性にも波紋を広げることになってきました。そのFRBは、自らが選んだパウエル議長がけん引しています。

 貿易問題もまだ解決の糸口が見つかりません。米商務省は19日、トランプ政権が検討している自動車の関税引き上げを巡って公聴会を開きました。この公聴会には、国内外の企業や外国政府代表者が招かれたようですが、日本からも在米日本大使館の相川特命全権公使が出席し、「日本からの輸入は米国の自動車産業を損なってはいない」と述べ、「日本からの輸入は米国の安全保障を脅かしていないし、今後もそうならない」と説明しました。自動車の輸入制限に関しては、メキシコや韓国などの外国政府も反対を表明した他、米自動車業界も反対を表明しています。またロス商務長官は、「調査結果が最終的に(輸入制限の)提案につながるか、現時点で言うのは時期尚早だ」と述べるに留まっています。

 カギを握るのは、やはり米中貿易問題です。2000億ドル(約22兆4000億円)規模の中国製品に対する関税引き上げが今回の公聴会の主題ですが、トランプ氏は先のCNBCとのインタビューでは、米国に輸入される中国製品5000億ドル相当に追加関税をかける「用意がある」とも発言しており、「われわれはいいように利用されており、私はそれが気に入らない」とも語っていました。(ブルームバーグ)中国から米国への年間輸出額が約5000億ドルですから、中国からの輸入全てに対して関税をかけるという意味合いになります。

 ドル円は111円台まで売られてきました。ドルが下落する時のいつものパターンですが、上昇は緩やかですが、下落時は一気に落ちてきます。ドル円は現時点ではまだ上昇傾向が崩れたとは言い切れません。もちろん今後のトランプ氏のつぶやき次第というところですが、3月の104円台から引くことの出来るサポートラインは、110円86銭前後にあり、ここが目先の重要な下値となりそうです。また、その他にも日足の「200日線」や「雲の上限」などのサポートが110円から、110円台前半にあることから、「110円が維持できるかどうか」が極めて重要なポイントになろうかと思います。

 本日は急激な円高から、日経平均株価は輸出株を中心に売られそうです。予想レンジは110円60銭~111円60銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)