ドル円は続伸し、欧州時間に112円62銭まで上昇し、NYでも112円58銭までドル高が進む。貿易戦争で新たな悪材料が出なかったことが「好材料」との地合い。株価の大幅反発もドル高材料に。ユーロドルは1.16台半ばから後半で推移し堅調。ユーロは対円でも131円台半ばまで買われ、約1カ月ぶりの高水準に。

 株式市場は大幅に反発し、前日の下落分を埋める。ダウは224ドル上昇し、ナスダックは107ポイント上昇し、最高値を更新。債券は引き続き小動き。長期金利も2.84%台でほぼ変わらず。金は3日ぶりに反発、原油は小幅ながら続落。


6月消費者物価指数  → 0.1%
新規失業保険申請件数 → 21.4万件
6月財政収支     → -749億ドル

ドル/円   112.37 ~ 112.58
ユーロ/ドル 1.1653 ~ 1.1696
ユーロ/円  131.08 ~ 131.47
NYダウ   +224.44 → 24,924.89ドル
GOLD   +2.20   → 1,246.60ドル
WTI    -0.05   → 70.33ドル
米10年国債 -0.004  → 2.845%

本日の注目イベント

中  中国6月貿易収支
米  6月輸入物価指数
米  7月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米  FRB半期に一度の金融政策報告
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米  企業決算 → JPモルガン、シティグループ、ウェルズファーゴ

 市場は相変わらずトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争の行方に一喜一憂しており、動かす材料もそこに集中している状況です。昨日は悪材料が出なかったことが「好材料」と受け止められ、NY株式市場では株価が大幅に反発し、ドル円も欧州市場では112円62銭までドルが買われています。クロス円でも全般的に円売りが進んでおり、ユーロ円は約1カ月ぶりに131円台半ばまで円安が進みました。

 中国国務省の王受文次官はジュネーブでの記者会見で、トランプ政権による一方的な関税賦課に他国が追随するようになれば、WTOは崩壊すると述べ、「こうした一方的な貿易の保護主義的措置がもたらす結果を、極めて深刻に受け止める必要がある。世界経済の成長にも悪影響が及びかねない」との見方を示しましたが、市場ではこの発言がソフトだと受け止められ、中国が直ちに報復手段に出ることはないと判断し、株価の上昇につながったようです。

 昨日の市場全体を眺めると、安全通貨の円やスイスフランが、ドルなど主要通貨に対して売られ、上記発言がややリスクオンに傾いたとも見られます。ただ、このまま中国が米国からの大規模な関税引き上げに対して傍観しているとは思えず、いずれ報復措置を発表してくると見られます。そうなると、再び株価が大きく売られ、ドル円も下落に転じることになりますが、そうこうしている間に、ドル円は112円台半ばまで円安が進行しています。「円は最早安全通貨ではない」と考えれば、足元の状況は説明がつきますが、どうでしょうか?

 ドル円は112円62銭をつけたことで、昨日もここで触れましたが、「週足」のトレンドラインを上抜けしてきました。正確に言えば、「週足」であるため、来週の寄付きが今の水準レベルで取引が始まれば、上抜け完成ということになります。もし、111円台まで押し戻されれば、抵抗線にあたって反落したということになり、今後のドル円の展開にとっては重要な意味を持つかもしれません。このレジスタンスラインは、2015年6月に黒田日銀総裁が国会での質問に答え、「ドル円は、ここからさらに大幅には上昇しないだろう」という見通しを示し、その後実際にジリジリと下落した、そのドルの最高値からスタートしています。当時ドル円は130円を目指して緩やかに上昇していましたが、この発言をきっかけに下落に転じたことから、このレベルを「黒田ライン」と呼んでいました。足元の動きは、そのレジスタンスラインを3年ぶりに上抜けするかどうかの状況です。

 本日もドル円は堅調に推移すると見られますが、短期的な「1時間足」や「30分足」ではローソク足の波形と「MACD」の波形が逆行しており、いわゆる「ダイバージェンス」を見せています。もしかしたら、「トピッシュ」ということで、反落のきっかけになるかもしれないため、注意が必要です。

 予想レンジは112~113円程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)