ドル円は続伸し、5月23日以来となる110円94銭までドル高が進む。その後株が上げ幅を縮小したことや、カナダ政府が7月1日から報復関税を発動することを発表したことで、ドルが下落。110円70銭前後まで下げて越週。ユーロドルは小幅に上昇。1.1690までユーロ高が進み、対円でも2週間ぶりに129円台半ばまで上昇。

 株式市場は続伸したものの、上げ幅を縮小。ダウは一時300ドル近い上昇を見せたものの、カナダが米国に対し報復関税を発動すると発表したことで、結局55ドル高で取り引きを終える。債券相場は続落。株価の上昇が重石となり売られ、長期金利は2.86%台まで上昇。金と原油はともに反発。原油価格は74ドル台に乗せて引ける。


5月個人所得               → +0.4%
5月個人支出               → +0.2%
5月PCEコアデフレータ         → +2.0%
6月シカゴ購買部協会景気指数       → 64.1
6月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 98.2
 
ドル/円   110.60 ~ 110.94
ユーロ/ドル 1.1628 ~ 1.1690
ユーロ/円  128.73 ~ 129.47
NYダウ   + 55.36 → 24,271.41ドル
GOLD   +3.50   → 1,254.50ドル
WTI    +0.70   → 74.15ドル
米10年国債 +0.024  → 2.860%

本日の注目イベント

日  日銀短観
中  6月財新製造業PMI
欧  ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
欧  ユーロ圏5月失業率
欧  ユーロ圏5月生産者物価指数
英  英6月製造業PMI
米  6月ISM製造業景況指数

 ドル円は緩やかに上昇し、先週末のNY市場では111円手前までドル高が進みましたが、今回も111円台乗せには失敗しています。米長期金利が上昇し、株価も、ダウは一時300ドル近く上昇したことで、円売りが強まりましたが、依然として勢いはなく、111円台には届いていません。

 ドルの上昇を抑えたのは、やはり貿易問題でした。カナダ政府は米国製品に対して、166億カナダドル(約1兆4000億円)相当の報復関税を決定し、7月1日から実施すると発表しました。カナダのフリーランド外相によると、関税率はトランプ政権が課した関税と同水準となり、鉄鋼製品には25%、アルミや消費財には10%の関税を課すようです。また、措置は米国がカナダ産鉄鋼とアルミに対する関税を撤廃するまで続けるというものです。

 中国やEUに続き、今度は同盟国であるカナダまでも報復関税を決めました。今後は、メキシコやロシアなども同じような行動に出る可能性があります。状況は「消耗戦」の様相を呈してきました。トランプ政権の強硬な保護主義政策には、米国自動車工業会や共和党内部からも反対の声が上がっており、中間選挙を意識したパフォーマンスも、下手をすると「逆効果」になるかもしれません。

 ドル上昇を抑制したもう一つの理由にクドロー米国家経済会議(NEC)委員長の発言が挙げられます。同委員長はFOXテレビで「われわれは経済の潜在成長力を拡大している。従ってインフレ的ではない」と述べ、FRBに対して利上げを急がないよう、暗に圧力をかけた形になりました。雇用の増加や経済成長がインフレを起こすわけではないことを、「新体制の米金融当局が理解することを期待する」と語っています。(ブルームバーグ)

 トランプ政権の保護主義がさらにエスカレートしている状況下でも、リスク回避の流れはそれ程加速なく、ドル円がゆっくりと上昇しているのは、米金利の先高感がドルをサポートしている一因だと考えられます。先週末発表された5月のPCEコアデフレータは2%に達しています。個人消費支出の伸びは今一つでしたが、FRBが目標値としている、PCEデフレータは2%を大きく超え、2.3%を記録しています。FRBは先月のFOMCで今年の利上げ回数予測を3回から4回に上方修正したのはこういった、インフレ懸念があるからです。トランプ政権の利上げに対する圧力がさらに強まるようだと、ドル円も足踏みが続くかもしれません。

 本日の予想レンジは110円30銭~111円10銭程度と見ます。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)