本日から明日にかけて行われる欧州連合(EU)首脳会議では、難民・移民問題が討議される。ドイツで長年連立政権を組むキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)が難民抑制策をめぐって対立しており、場合によっては今後の政局が不安定化する可能性もあるとして今回の首脳会議には注目が集まっている。

 ドイツ内務相でもあるCSUのゼーホーファー党首は、他のEU加盟国で難民申請した人がドイツに入国する「二次的移動」を拒否するよう求めている。これに対し、メルケル首相は「ドイツは一方的行動は取らない」と単独策を拒否してきた。とはいえ、難民受け入れの公平な分担に反対の立場を取る国も多く、EU全体でCSU案に合意を取り付ける事は難しい。そこでメルケル首相は、当面は難民流入が多いイタリアなどと2国間や3国間での合意を目指す方針を明らかにしている。

 ただ、ゼーホーファー内務相は「EU首脳会議が解決策を見いださなければ、二次的移動者の入国は拒否する」として7月1日から入国拒否を単独で強行する考えだ。これに対しメルケル首相は「もしも内務相がそのような政策を実行した場合、私の首相権限に抵触することになる」とけん制している。最悪のケースでは3月に発足したばかりのメルケル政権が、わずか4カ月で崩壊する事にもなりかねない。もし、再選挙となれば、反移民を掲げる新興右派「ドイツのための選択肢(AfD)」がさらに議席を伸ばす可能性もある。今回のEU首脳会議は、ユーロへの信任という意味合いからも注目されている。

(執筆:外為どっとコム総合研究所 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)