ドル円は反発。前日同様、東京時間に109円37銭近辺を記録した後、ドルは緩やかに上昇。ライアン下院議長などの発言から貿易戦争への懸念が後退し、110円21銭までドルが買われる。ドル高が進んだことでユーロドルは下落。1.1635まで売られ、1.15~1.18のレンジを上下共に抜けず。

 貿易戦争への懸念が後退したことや、前日大きく売られた反動から株価は反発。それでも上値は限定的となり、ダウは30ドルの小幅高。債券相場は変わらず。長期金利も2.88%台を割り込んだが小幅に留まる。金は続落し、昨年12月以来の安値を記録。原油は米国がイランからの原油輸入を停止するよう各国に求めたことで大幅高。前日比2ドル45セント上昇し、約1カ月ぶりに70ドルの大台に乗せる。


4月ケース・シラ-住宅価格指数 → +6.56%
6月リッチモンド連銀製造業指数 → 20
6月消費者信頼感指数      → 126.4

ドル/円   109.57 ~ 110.21
ユーロ/ドル 1.1635 ~ 1.1684
ユーロ/円  127.88 ~ 128.37
NYダウ   +30.31 → 24,283.11ドル
GOLD   -9.00  → 1,259.90ドル
WTI    +2.45  → 70.53ドル
米10年国債 -0.003 → 2.877%


本日の注目イベント

中  中国 5月工業利益
欧  ユーロ圏5月マネーサプライ
米  5月耐久財受注
米  5月中古住宅販売件数成約指数
米  ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演

 足元のドル円は、トランプ政権の保護貿易主義の行方だけを材料に上下していると言ってもいい状況です。トランプ氏がEUからの自動車全てに20%の関税をかけると言ったら、ドル円は109円37銭前後まで下げ、今朝の経済紙では「円の先高感が高まってきた」との論評でした。ところが昨日は、ハセット大統領経済諮問委員会(CEA)委員長と、ライアン下院議長の発言で、貿易戦争への懸念が後退したと見ると、110円22銭近辺までドル高が進んでいます。トランプ氏の一言一句が市場の動きを支配していると言えます。

 ハセットCEA委員長は、米国が中国とEUからの関税引き下げを勝ち取る可能性が高いと述べ、ライアン議長は不公平な貿易慣行に対抗する上で、「関税引き上げよりも良い手段がある」と述べてはいますが、具体的な手法は明らかにしていません。

 米ABCテレビは「ハーレ-ダビッドソンが貿易戦争の犠牲者第一号だ」と報じました。トランプ氏のお気に入りのバイク、ハーレーダビッドソンは、欧州向けのバイクの生産を海外に移すと発表しました。言うまでもなく、EUが米国に対す報復措置として、同社のバイクに対して25%の関税をかけることを先週決めたことに対応したものです。報道によりますと、それまで6%の関税を25%に引き上げたことで、同社のバイクは1台あたり2200ドル(約22万円)値上がりすることになります。同じバイクが一気に2200ドル値上がりすれば、当然売れ行きは落ちます。そこで、同社は生産を米国から海外に移すことを決めたわけです。仮にこの生産をアジアのどこかに移し、出来上がったバイクを欧州に輸出しても従来の6%の関税で済むことになります。この措置は「米国からの輸入」に限定しているからです。

 貿易赤字を解消するためとはいえ、行きすぎた保護貿易が結局は、自国の景気悪化にもつながってくることを示した一例になったと思いますが、このような動きは今後も出てくる可能性があります。トランプ大統領はこの動きに対して「もし海外に移したら見ているがいい、終わりの始まりだ」と、恫喝とも思える言葉でツィートしています。

 それにしてもドル円は109円37銭前後で「そこに壁があるかのように」下げ止まり、反発します。上記貿易問題がエスカレートしてくる中、ドルの上値が徐々に重くなっていることを認識しながらも、昨日は110円21銭までドルが買い戻されています。このまま109円台半ばから下値が固いとすると、再び110円を挟んで上下50銭~70銭程度のレンジに戻ることも考えられます。この欄で先週述べたように、足元の動きは109-111円のレンジとわきまえ、早めの決済をし、もしどちらか一方に抜けた際には同じ方向に付いていくしかありません。

 本日の予想レンジは109円40銭~110円40銭程度とみますが、まだ上値を追う地合いではないように思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)