ドル円は米中貿易摩擦がさらに激化するとの見方からドル売りが強まり、東京時時間に付けた同じ水準である109円37銭前後までドル安が進む。その後、ナバロン米国家通商会議(NTC)委員長が規制について否定的な見方を示したことで110円台まで反発。ユーロドルは続伸。独IFO景況感指数が予想を上回ったことで1.1713までユーロ高が進む。株式市場は大幅に続落。トランプ政権が、中国資本が25%以上占めている企業への投資を制限することを検討していると報じられたことで、ダウは一時500ドルに迫る下げに。その後否定されたことで買い戻しが入り、328ドル安で引ける。安全資産の債券は続伸。長期金利は2.88%台まで低下し、5月末以来の低水準に。金は続落し、原油は反落。

5月新築住宅販売件数  → 68.9万件

ドル/円109.37 ~ 110.03
ユーロ/ドル1.1671 ~ 1.1713
ユーロ/円  127.85 ~ 128.84
NYダウ   -328.09  → 24,252.80ドル
GOLD  -1.80 →1,268.90ドル 
WTI  -0.50   → 68.08ドル  
米10年国債  -0.015  → 2.880%

本日の注目イベント

米   4月ケース・シラ-住宅価格指数
米   6月リッチモンド連銀製造業指数
米   6月消費者信頼感指数
米   ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米   カプラン・ダラス連銀総裁講演

 昨日のドル円は予想した通り、ドルの下値を探る展開でしたが、それでも109円37銭前後で下げ止まり、まだ下方も攻め切れない印象でした。トランプ政権の強硬な通商政策が中国だけではなく、EUなども敵に回し、孤立化を深め、世界経済の成長にもブレイキをかける状況になっているとも言えます。ただそれでもドル円を見る限り、それ程リスク回避の動きは強まっておらず、米金利の先高感に支えられているとは言っても、やや楽観的すぎるのではないかと考えています。

 昨日のNY株式市場では、トランプ政権が、中国資本が25%以上占めている企業に対する投資を規制することを検討していると伝えられたことで、ダウは一時先週末に比べ500ドル安近辺まで下げました。その後、ナバロン米国家通商会議(NTC)委員長が、「トランプ政権の通商政策は誤解されており、投資を制限する計画はない」と語ったことで、株価は戻っており、ドル円も110円を回復しました。それでもダウは328ドル下げ、ナスダックは2%を超える下げを見せ、ドル円も109円70-80銭まで押し戻されて取り引きを終えています。

 為替も株も、あるいは債券市場も「トランプリスク一色」と言ってもいい状況です。中国に対する貿易関税の引き上げは7月6日に発動される予定で、時間は余り残されていません。このまま2000億ドル(約22兆円)の大規模な関税引き上げが実施されるとは思えませんが、「時間切れ」という事態も考えられ、予断は許しません。実際に、EUの米国製品に対する関税引き上げは先週22日に発動されています。トランプ政権も水面下では中国と、落としどころを模索する交渉を行っている模様ですが、中国側がこれまでになく態度を硬化させている点も懸念されます。

 ドル円はやや下値を切り下げてきました。昨日は109円37銭前後を2度試し、反発しています。現在日足の雲の上限に下落を抑えられているところですが、本日はNY株の大幅安を受けて日本株も大幅な下落が予想されます。そのため、ドル円も再び下値を試す可能性が高いと思われます。先ずは昨日の安値の109円30-40銭で下げ止まるかどうかが注目されます。さらに今月8日に記録した109円20銭前後が意識されそうです。予想レンジは109円~110円程度と見ますが、本日は地区連銀総裁の講演が多く予定されています。

 先のFOMCでは年内の利上げ回数予測が上方修正されており、基本的には多くのFOMCメンバーが米景気の先行きには楽観的だと見られます。同じような論調の発言があると、再び110円を挟む展開に戻ることがあるかもしれません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)