先週の為替は比較的安定。1ドル=110円を挟んで行ったり来たりでした。今月これまでは「緩やかな円安傾向」だと判断して、先月末108円から110円台まで上がってきたものの、伸び悩んでおり、勢いも失われてしまったような印象です。現状まだ、もうひと伸びする可能性(111円以上へ)も完全に消えたわけではありませんが、しかし同時に、短期トレンドが再び円高へ転換するシナリオも頭に入れたい状況になりつつあるのではないかと見られます。今週、非常に意識される水準は110円~109円台後半あたり。重要なサポート帯が形成されています。
 
 一応、言及しておかなければならない点としまして、短期チャート分析を細かく分析すれば、すでに円高トレンドに転換する可能性を示唆するシグナルが先週後半から出現し始めています。まだ完全に短期トレンドが円高に転換したと断定するには早いかもしれませんが、今週、109円台後半の重要ゾーンから下方に崩れるような展開になりますと、かなりきつくなり、しばらく円高トレンドに入る可能性が高まると考えられます。その場合、今年3月に円高が止まって、4月下旬に108円そして109円を超えてきてから、110円を中心に上下1~2円程度の狭い範囲での保ち合いが長期化していましたので相場エネルギーがそれなりに蓄積されています。
 
 したがいまして、仮に、円高トレンドに転換した場合、しっかりした円高が生じやすくなると考えられます。具体的には、上述の109円台後半の重要ポイントを万が一、下抜けた場合、次に、先月以降の安値圏、108円台ではひとまず止まりやすいと考えらます。が、そこでこらえきれずに、最大で今年3月と同じように105円台~104円台へと円高が拡大する展開も十分に想定されます。先週末時点で、まだ、それほどの円高を生じさせるトレンド転換が決定的になったわけではありませんが、念のため、そのようなリスクシナリオも想定内としておきたいです。
 
 ユーロ円は、今月の高値1ユーロ=130円から先週末は128円へと値下がりしています。イタリアの政治不安は相変わらず続いていますが、現状、チャート分析の観点では、それほど大きなユーロ安圧力は見当たりません。この先、下落したとしても、先月の急落の範囲内(126~125円あたり)で止まりやすいのではないかと見られます。
 
 豪ドル円が、非常にしぶとく粘り腰を見せています。今年3月以降、豪ドル円は1豪ドル=80~84円の範囲で保ち合いが続いてきました。先週はその保ち合いの下限に接近して、さらに下限を割り込むのではないかという心配も出始めましたが、結果的には、しっかり下支えされました。80~81円の水準が、かなり強力なサポート帯になっているようです。今後もそのサポート帯以上の水準で推移している限りは問題ないのですが、万が一、何らかの豪ドル安要因(円高要因)が高まって、その下限を割り込んだ場合、これまでの保ち合いが長かっただけに、それなりの豪ドル安に向かう可能性が高まります。従来の保ち合いの下限を割り込み、豪ドル安に向かった場合、短期的には78円台に節目があり、そこで一旦止まりやすいです。が、中期的には、最大75円あたりを目指すシナリオも考えられますので、この先、重要サポート帯(80~81円)を死守できるかどうか注目されます。
 
 メキシコペソが大幅反発しました。今月は一時5.3円を割れて、5.2円台に突入する場面もあり、かなり割安で、絶好の買いチャンスでしたが、先週末は、あっという間に5.49円と、5.5円目前まで戻ってきました。理由のひとつは、予想通り、しっかり追加利上げに踏み切ったこと。メキシコの政策金利は先週7.50%から7.75%へ引き上げられました。現在の高金利はまだまだ当分、維持される見通しです。(執筆者:為替王)(イメージ写真提供:123RF)