■中国のプラチナ市場

 プラチナの世界的業界団体であるワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(World Platinum Investment Council:WPIC)は最近、上海にオフィスを開設しました。これは、中国のプラチナ市場がいかに大きくかつ重要であるかを意味しているものといえるでしょう。中国は経済発展とともに、金・プラチナに対する膨大な需要を持つ市場として、その確固たる地位を固めてきました。

 中国とインドの金・プラチナ需要は、今や世界をけん引する二大国となっています。世界の金、プラチナの需要に関連して統計を見ると、この二か国はトップを争っています。ただ、それぞれの経済環境などの条件によってその需要は変動しています。たとえば、インドは、GST導入による税制変更があったり、中国でも反腐敗運動と連動した買い控えなどの余波で需要が減少傾向にあったりしました。

 中国の2018年第1四半期は、実質経済成長率は6.8%と発表されていますが(注1)、2018年通年の目標6.5%を達成すると自信を持っているようです。かつての成長率に比べると鈍化しているものの、この経済成長率は、金、プラチナにとっても魅力的な存在であることは間違いないでしょう。WPICが事務所を開設したのも当然の帰結かもしれません。

■中国のプラチナ市場の現状

 中国の宝飾品におけるプラチナ需要に関しては、上述の原因以外にリサイクル構造の転換期にあることや18金等の宝飾品などが嗜好されるなどの傾向から減少傾向にあるようです(注2)。ただ、ブランド品などは相変わらず人気であることなど考えると、ぜいたく品購入においてプラチナへのシフトが起こる可能性もあると考えられます。

 中国のプラチナ市場を考える上で、重要な点は工業利用におけるプラチナの利用です。以前「プラチナのリサイクルについての問題」の中で述べたように、排ガス浄化の触媒については、パラジウムの需要が増えており、中国においても例外ではありません。その一方で、中国における化学セクター、特殊シリコンセクター、石油精製セクターにおける技術需要により需要が伸びており(注3)、これらの分野における需要は引き続き伸びる可能性があります。

 WPICによれば、同機関は、中国における投資資産としてのプラチナに焦点をあてており、様々な投資商品が考えられる中、日本で成功したような積み立て商品にも注目しているようです(注4)。プラチナをめぐる様々な商品が今後開発されてくる可能性もあります。

■最後に

 今後の中国のプラチナ市場を見る上での注意点は以下のようになると考えられます。米国との貿易摩擦の動向(注5)、この影響も踏まえた経済成長率の動向、パラジウムとプラチナの需給バランスの動向、ぜいたく品消費の動向、などが挙げられるかと思います。

 日本におけるプラチナの投資分野、ジュエリー分野における動向は、プラチナ市場に大きい影響を与える可能性を持ちますが、それは今後の日本経済の動向次第でしょう。一方で、大市場に成長した中国は、プラチナ市場にとっては、大きい存在として今後ますますその地位を向上させる可能性があります。

 今回は、中国のプラチナ市場の動向についてと題してお話しさせていただきました。

(注1)中華人民共和国国家統計局発表データ2018年4月17日

(注2)ジョンソンマッセイPGM市場レポート2018年2月

(注3)同上

(注4)World Platinum Investment Council Platinum Q1 2018, 14th May 2018の前言(英文)

(注5)ニッセイアセットマネジメント投資情報室新興国レポート「中国経済 成長率6.8%維持」(2018年4月20日)がこの点を指摘しています。(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)