中国と米国との間の貿易を巡るさや当てが激化している。大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は6月20日、「影の銀行の過度の抑制もリスク要因に」と題するレポート(全9ページ)を発表し、その中で、「米中摩擦の本質はハイテク覇権争い」、「さらに長期化・複雑化していく可能性が高い」と見通した。レポートの要旨は、以下の通り。
 
◆5月単月の社会資金調達金額のネットの増減額は、委託貸出、信託貸出、未割引の銀行引受手形、企業債券が純減(回収・償還超過)となり、シャドーバンキング経由の資金調達が極端に抑制されたことが示されている。こうした状況が続けば、小型・零細企業は資金調達難に陥り、資金繰りの悪化から企業倒産が増加する可能性がある。これを回避するために、中国人民銀行は小型・零細企業向け貸出の増加に向けたサポートを強化している。
 
◆米中が貿易戦争に突入する事態が回避されるとの安堵感が広がったのも束の間、米トランプ政権は知的財産権侵害への制裁として中国からの輸入品500億米ドル分に25%の追加関税をかけると表明した。6月15日にはそのリストが発表され、うち340億米ドル分は7月6日に発動する。さらに、米トランプ大統領は6月18日、新たに2,000億米ドル分に10%の追加関税をかけることを検討しているとした。それぞれに対して中国は即座に対抗措置を講じる構えである。米国の狙いは単に貿易不均衡の是正だけではなく、ハイテク面での優位性を維持・強化することにある。7月6日までに何らかの取引が行われ、発動が回避される可能性は残っているが、これで話は終わりにはなるまい。米中摩擦の本質はハイテク覇権争いであり、この問題は形を変えて、さらに長期化・複雑化していく可能性が高い。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)