ドル円は昨日の夕方には110円を割り込み、109円90銭前後まで下落したが、ECBの政策発表後に大幅なドル高ユーロ安が進んだことに反応し上昇。110円70銭までドル高が進み、高値圏で引ける。ECBが量的緩和の年内終了を決めたが、2019年夏まで政策金利は据え置かれることでユーロは急落。ユーロドルは1.1563まで売られ、ユ-ロ円も127円台後半まで下げる。

 株式市場はまちまち。ダウは3日続落する一方、ナスダックは65ポイント上昇し、最高値を更新。債券相場は反発。長期金利は2.93%台まで低下。金は続伸し、原油価格も4日続伸。


新規失業保険申請件数 → 21.8万件
5月小売売上高    → +0.8%
5月輸入物価指数   → +0.6%

ドル/円   110.06 ~ 110.70
ユーロ/ドル 1.1563 ~ 1.1744
ユーロ/円  127.91 ~ 129.26
NYダウ   -25.89 → 25,175.31ドル
GOLD   +7.00  → 1,308.30ドル
WTI    +0.25  → 66.89ドル
米10年国債 -0.031 → 2.935%

本日の注目イベント

日  日銀金融政策決定会合
日  黒田日銀総裁記者会見
欧  ユーロ圏5月消費者物価指数(改定値)
米  6月NY連銀製造業景況指数
米  5月鉱工業生産
米  5月設備稼働率
米  6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)


 昨日のコメントでもECBの金融政策からユーロの動きに注意が必要と書きましたが、昨日はそのユーロの動きに引っ張られ、ドル円も直近高値である110円70銭までドル高が進み、ユーロドルは先月末以来となる1.15台まで売られました。

 ECBは理事会で量的緩和の年内終了を決めました。今年に入って域内の景気が鈍化の兆しを見せ、さらに南欧の政治的リスクが高まってきたことから、量的緩和の終了は難しいのではないかとの見方も一部にはありましたが、年内に終了することを決めました。インフレ懸念が高まってきたことと、景気の鈍化は一時的なことだと判断した模様です。この判断の背景には、インフレファイターの象徴でもあるドイツ連銀の意向もかなり影響したのではないかと思います。

 量的緩和の終了は、市場への資金供給を止めるということで、本来はユーロ高材料です。実際発表直後にユーロは買われ、1.1850台までユーロ高が進み、直近の戻り高値を抜いていました。その後、現行の政策金利を2019年夏まで据え置くと表明されたことで、ユーロが1.15台まで一気に売られました。ドル高ユーロ安が急速に進んだことでドル円も110円70銭まで買われたものです。個人的には量的緩和の年内終了も意外でしたが、その後の為替の動きもサプライズでした。

 ECBは現在、月に300億ユーロ(約4兆円)の資産購入を行っていますが、これを10月以降は150億ユーロに減額し12月で終了することを決めました。ドラギ総裁は、この決定は全会一致だったことを強調し、債券購入プログラムは今後、ECBの通常の政策手段の一つになると述べています。

 2008年のリーマンショックという未曾有の金融事件から、その影響を最小限に抑えるため、FRB、ECB、BOJなど主要中銀は政策金利をほぼ「ゼロ」にし、市場に大量の資金を供給するという「非伝統的な金融政策」を実施しました。その効果もあり、景気回復をいち早く達成したのがFRBであり、ご存知の様に既に「緩やかな金融引き締め政策」に移行しています。昨日のECBの決定は、その背中を追うもので、通常の金融政策へ戻る第一歩と捉えられます。ECBの利上げは来年夏以降となりますが、日銀にいたってはその時期すら見えません。FRBは前日利上げを決めたばかりで、年内の利上げ回数予測を上方修正しました。言い古された言葉ですが、「中銀の金融政策の差」が再び注目される状況がくる可能性があります。

 ドル円は110円台後半を付けた後、通商問題懸念から109円台まで落とされましたが、底堅い米景気と、金利上昇からドルが緩やかに上昇するというシナリオは支持されやすいと思われます。トランプリスクとの綱引きという構図が最も想定しやすい流れになるのでしょう。

 本日のレンジは110円~111円程度というところで、今回は111円をテストできるのか、注目しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)