米朝首脳会談をひとまず評価したドル買いで、ドル円は110円49銭まで上昇。発表された5月のCPIが年率で2.8%だったこともドルを支えた。ユーロドルは小幅に反落。1.1733まで売られる場面があったが、明日のECB理事会を控え活発な動きは見られなかった。

 株式市場は続伸したものの、ダウは5日ぶりに小幅安で終わる。ハイテク株の多いナスダックは43ポイント上昇。債券相場は小幅ながら3日続落。長期金利は2.96%台まで上昇し、ドル堅調の一因に。金は反落し1300ドルを割り込む。原油は小幅に続伸。


5月消費者物価指数 → +0.2%
5月財政収支    → -1468億ドル

ドル/円   110.16 ~ 110.49
ユーロ/ドル 1.1733 ~ 1.1801
ユーロ/円  129.56 ~ 130.14
NYダウ   -1.58  → 25,320.73ドル
GOLD   +0.26  → 1,299.40ドル
WTI    +0.26  → 66.36ドル
米10年国債 +0.009 → 2.961%

本日の注目イベント

欧  ユーロ圏4月鉱工業生産
欧  IEA月報
英  英4月消費者物価指数
英  英4月生産者物価指数
米  FOMC 政策金利発表
米  パウエル議長記者会見
米  5月生産者物価指数


 昨日の米朝首脳会談の様子をテレビの前でしっかりと見た人は多かったのではないかと思いますが、共同声明に署名をする場面では、やはりトランプ氏が役者が1枚も2枚も上なのか、終始場面をリードしている様に見えました。年齢差や人生経験を考えれば当然なのでしょうが、1対1の会談でどんなことが話されたのか、興味は尽きません。

 共同声明では、朝鮮半島の非核化に取り組むことが記載されていましたが、そのプロセスについては触れていません。これについてトランプ大統領は「完全な非核化には時間がかかる。いったんプロセスが始まれば、ほとんど終わる」と述べており、事前にあれだけ「完全で、かつ検証可能でv不可逆的(CVID)な非核化」にこだわった事を考えると、やや肩透かしをくらった印象です。一方金委員長は、北朝鮮の体制保証を取り付けたことで、まずまずの成果だったと満足している風にも見えました。

 結局今回の歴史的会談は、政治的パフォーマンスの色合いも強く、それでもトランプ大統領が言ったように、ひとまず筋道をつけたことを喜ぶべきなのか、あるいは結局米国が望んだ短期的な非核化が棚上げされたことに失望するのか、評価が分かれるところです。またわれわれにとって関心のある拉致問題では、「拉致を提起した」とトランプ大統領は述べていましたが、それに対する金委員長の言葉すら分かっていません。この点に関しては失望と言わざるを得ません。

 ドル円は昨日の首脳会談中に、「期待以上の成果だった」というトランプ大統領の言葉に反応し、110円49銭までドル高が進みましたが、その後上値は抑えられており、NYでも同じように上値を試したものの、110円台半ばは抜け切れていません。市場は既に「米朝首脳会談」から「FOMCとECB理事会」に目線を移しています。今回のFOMCでは今年2回目となる利上げはまず間違いないと思われます。そうなると、残りもう1回なのか2回なのかが焦点ですが、前回のFOMC議事録では「利上げは急がない」との文言もあり、パウエルFRB議長の会見でもヒントは得られず、ニュートラルな結果になるかもしれません。

 今朝方のドル円は110円台半ばを若干超えてきたことから、やはり利上げがドル高をサポートしている構図になっていると思われます。既に日足の「200日線」をしっかりと抜けてきたことから、111円テストもあるかもしれません。ただ、それでも今後円が買い戻される材料は残っています。米朝首脳会談で自分をアピールできたトランプ大統領が、先週も触れていた輸入自動車関税の引き上げに着手し、中間選挙を一気に有利に持っていきたいと考えることに違和感はありません。

 また先週のカナダでのG7では欧州との対立が鮮明でしたが、ドイツのメルケル首相は「7月1日にも対抗措置を準備できる」と述べており、対中国だけでなく、対欧州でも「貿易戦争」という言葉が現実味を帯びてきました。「最初にガツーンとやってから落し所を探る」のがトランプ流外交術であることから、このまま「貿易戦争」に発展する可能性は低いものの、円が急騰する場面も想定されます。

 本日のドル円はFOMCもあることから、109円50銭~111円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)