昨日は、円が主要通貨に対してほぼ全面安の展開となったが、数少ない例外がメキシコペソであった。ペソ/円は8日に付けた約1年5カ月ぶりの安値(5.287円)こそ下回らなかったが、5.3円台を中心に上値の重い展開が続いている。トランプ米大統領とトルドー・カナダ首相が前週末のG7首脳会議(サミット)で対立した事を受けて北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉をめぐる懸念が高まった。NAFTAの破棄(=米墨2国間貿易協定の締結)は、全輸出の7割が米国向けを占めるメキシコにとって痛手となる公算が大きい。

 また、7月1日に予定されている大統領選挙でロペスオブラドール新大統領の誕生が濃厚な事も先行き不透明感を強めている。ロペスオブラドール氏は、反米・反トランプを掲げるほか、エネルギー事業の民間開放に反対の立場とされる。そのほか、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げが濃厚で、今年後半にさらに2回の利上げが示唆される可能性がある事もペソを圧迫しそうだ。米国の金利やドルの価値上昇によって、新興国から投資資金引上げられるリスクがあるためだ。

 米朝首脳会談を無事に終了した事で市場のリスク警戒感が緩む可能性もあるが、新興国通貨にとっては追風になりにくいと考えるべきだろう。
(執筆:外為どっとコム総合研究所 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)