ドル円は109円台を回復し、雇用統計の内容が良好だったことで、109円73銭までドル高が進む。その後は貿易問題などがドルの上値を抑え、109円半ばで越週。ユーロドルは1.16台で落ち着いた動きを見せる。上値が重いものの、1.15が当面の底値との見方も浮上。

 株式市場は大幅に反発。雇用統計を受け、景気に対する楽観的な見方が株価を押し上げる。ダウは219ドル上昇し、ナスダックも112ポイント上げる。債券は続落。株価の上昇を手掛かりに売りが優勢に。長期金利は1週間ぶりに2.90%台を回復。金、原油はともに続落。


5月失業率        → 3.8%
5月非農業部門雇用者数  → 22.3万人
5月平均時給 (前月比) → 0.3%
5月平均時給 (前年比) → 2.7%
5月労働参加率      → 62.7%
5月ISM製造業景況指数 → 58.7

ドル/円   109.41 ~ 109.73
ユーロ/ドル 1.1617 ~ 1.1688
ユーロ/円  127.17 ~ 128.13
NYダウ   +219.37 → 24,635.21ドル
GOLD   -5.40   → 1,299.30ドル
WTI    -1.23   → 65.81ドル
米10年国債 +0.044  → 2.902%


 109円台が重いイメージが出来つつあったドル円は、5月の雇用統計の結果を受け、109円台後半までドル高が進みました。失業率は18年ぶりとなる3.8%まで低下し、雇用者数は、予想の19万人を大きく上回る22.3万人でした。もっとも、その内容の割りには発表後のドルの伸びは小幅でしたが、これは発表前からドルが上昇していたことにも関係がありそうです。

 トランプ大統領は、雇用統計が発表される前に「雇用統計が楽しみだ」というツイッターを投稿していました。報道によると、大統領は発表の1時間前に雇用統計の内容を知らされるということで、その内容を踏まえて「楽しみだ」とツイートしたのではないかとの思惑でドルが既に買われていました。やや古い話で恐縮ですが、筆者が現役の頃は、雇用統計の内容はFRB議長は知ることが出来ても、大統領でさえも事前には知ることは出来ないと聞かされていました。制度が変わったのかもしれませんが、今後もこのような事態が起きれば、いずれ問題になることでしょう。

 それにしても、このところの雇用統計発表日の値動きは、一時ほどの活発さは見られません。この日も発表後の値幅は30銭強で、小幅でした。労働市場が好調さを継続しており、多少予想とぶれても今後の金融政策への影響はあまり考えられないということであろうかと思います。しばらくはこのような状況が続くものと思われますが、FRBの使命の一つに「雇用の最大化」がうたわれている以上、この指標が投資家の関心からはずれることはないと思います。

 週末から昨日までに、カナダでは「G7」が行われ、米朝首脳会談の正式日程が決まりました。「G7」では、米国の保護主義に対する批判が相次ぎ、ムニューシン財務長官もTVで観る限りでは、居場所がなさそうな様子でした。フランスのルメール経済・財務相が「G6プラス1」と呼んでいたことが象徴的で、「G7」そのものの存在意義が問われそうです。米朝首脳会談は当初の予定通り、来週火曜日に行われることに決まりました。トランプ大統領が「会談中止」を発表したことが今回の成功につながったともみられ、米国側が非核化に対してもやや譲歩する気配もうかがえます。ここにも「トランプ流の外交術」が見え隠れしています。

 ドル円は、今日は底堅い動きを見せると思われますが、上値の方もそれほど期待できないでしょう。先ずはNYの高値近辺を抜けるかどうかですが、その後は110円台に乗せることができるかどうかです。110円台では10-20銭近辺が前回の高値でもあり、重要な移動平均線がある値位置のため、最も注目される水準かと思われます。

 そのため、本日は109~110円のレンジを予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)