ドル円は、4月の雇用統計で失業率は改善していたものの、その他の指標が軟調だったことで発表直後から下落。一時は108円65銭まで売られた。ただその後は米株式市場が急騰したことで109円台を回復。ユーロドルは雇用統計発表後買われたものの、1.20台には届かず。その後ドルが上昇すると1.1910までユーロ安が進む。

 株式市場は大幅に反発。失業率が18年ぶりの水準になったことが材料に。ダウは一時400ドルを超える上昇を見せたが、引けでは332ドル高。他の主要指数も軒並み上昇。債券相場は下落。長期金利は2.95%台へとやや上昇。金は小幅に続伸。原油価格はトランプ政権がイランへの制裁に踏み切るとの観測から続伸し、3年5カ月ぶりに69ドル台後半まで買われる。

4月失業率        → 16.4万人
4月非農業部門雇用者数  → 3.9%
4月平均時給 (前月比) → 0.1%
4月平均時給 (前年比) → 2.6%
4月労働参加率      → 62.8%

ドル/円   108.65 ~ 109.27
ユーロ/ドル 1.1910 ~ 1.1995
ユーロ/円  129.89 ~ 130.54
NYダウ   +332.36 → 24,262.51ドル
GOLD   +2.00   → 1,314.70ドル
WTI    +1.36   → 69.76ドル
米10年国債 +0.004  → 2.950%

本日の注目イベント

日  日銀金融政策決定会合、議事要旨(3月8日、9日分)
中  中国 4月外貨準備高
米  3月消費者信用残高
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米  バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米  カプラン・ダラス連銀総裁講演
米  エバンス・シカゴ連銀総裁講演


 ドル円は4月の雇用統計を受けて下落し、4月25日以来となる108円台半ばまで売られましたが、その後は切り返し、結局109円台でNYでの取り引きを終えています。底堅いと言えば、底堅い動きです。北朝鮮問題はほぼリスクとしては存在しなくなってきたことや、米長期金利との相関関係が戻ってきたことが、大きな理由として考えられます。

 4月の雇用統計では、雇用者数は市場予想を下回る16.4万人でしたが、失業率が18年ぶりとなる4%を下回ったことが株式市場で好感されています。注目の賃金はやや上昇率が鈍化しており、これが嫌気されてドル円は一時108円65銭まで売られましたが、下落もそこまでで、結局109円台に戻して越週しています。FRBは、2日のFOMCでは予想通り金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送りましたが、声明文では「さらなる利上げが正当化される」と記述され、次回6月のFOMCでは今年2回目の利上げが実施される可能性がさらに
高まったと考えられます。

 ドル円はこの日に110円台に乗せ、110円04銭までドル高が進みました。これで、3月23日に記録した104円64銭の底値からは5円40銭ほど戻したことになります。日足チャートでも既に雲抜けを完成させ、重要な「200日線」に迫ろうという状況です。110円台をつけた後、一旦108円台半ばまで落とされたため、目先のレジスタンスは「120日線」の位置する109円30銭前後ですが、重要なのはやはり上記「200日線」のある110円20銭前後をしっかりと抜け切れるかどうかでしょう。ドル円の直近の高値を昨年11月6日の114円74銭と見れば、今年3月の底値までは10円10銭下げたことになります。フィボナッチ・リトレースメントで戻りの水準を確認してみると、「半値戻し」は109円69銭となり、これは先週一旦抜けています。「半値戻しは全値戻し」と言われ、114円台はまだ遠い存在ですが、上記「200日線」を超えてくれば、その可能性も少しずつ意識されてくるかもしれません。

 ただそうは言っても、まだ手放しでドル高を見据えるわけにはいきません。そもそもトランプ大統領がドル高を望んでいないとの見方がある他、先週行われた米中通商問題では、米国側は中国に対して2020年までに2000億ドル(約22兆円)の貿易赤字削減を要求しました。両国の主張には隔たりが大きく、一旦消え去った「貿易戦争」という言葉が再び報道の中で使われ始めてきました。さらにはシリアをはじめとする中東問題や、トランプ大統領のロシア疑惑も引き続きグレイです。そして、半年後には米中間選挙が控えています。その意味では110円台を安定的に回復できるかどうかは、今後の相場を占う上でも非常に重要なポイントと言えます。

 本日は地区連銀総裁の講演が多く予定されています。基本的には好調な米景気を背景に、利上げには前向きな発言が多く出ると予想されます。

 レンジは108円70銭~109円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)