モーニングスターは4月20日、2018年3月期決算が9期連続増益・7期連続の最高益になったと発表した。売上高は59.67億円で前年同期比24.6%増、営業利益は16.38億円で同5.0%増、経常利益は17.57億円で同8.6%増だった。同日に決算発表会を行い、同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「これまでの連続増益は2ケタ成長をしてきたが、前3月期は1ケタ増と成長率が鈍化した。これは、投資信託業界が積立型のビジネスモデルに転換していることがある。私たちも、従来のモデルを進化させ、より高いマーケットシェアをめざし、取引先の拡大を最優先に取り組んだ結果。タブレットアプリの提供者数、ファンドレポートの受注本数などで目に見えて結果を上げられたので、次のステージが見えてきた」と成果を語った。
 
 増益率の鈍化の主な理由は、モーニングスター単体の営業利益が17年3月期の11.43億円から、18年3月期は11.62億円と微増にとどまったこと。「メディア・ソリューション」といった広告事業の売上高が18.1%減、「その他データ」というワンタイムで情報を提供する事業が11.5%減収と不調だった。朝倉氏は、この両部門の減収に時代の変化を見ている。「従来は、投信会社は新ファンドを作り、大型広告を掲載し、新規ファンド関連の販売資料をしっかり用意していた。販売会社も、販売手数料で稼ぐ部分が大きかった。ところが、フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務方針)の徹底によって、スポットで大きく販売量を伸ばすのではなく、積み立てで残高を積み上げる売り方、信託報酬を積み上げる売り方に変わってきている。新ファンドが減り、インデックスファンドが増えた。大きな金額で広告を出すことが減った」(朝倉氏)という。
 
 変わって伸びてきているが、「タブレット+フィンテック」(前期比15.7%増収)など、「貯蓄から資産形成へ」の流れに後押しされる分野だ。朝倉氏は、「昨年の上半期にUSリートやグローバルリートなど毎月分配型で人気だったファンド群から大量の資金流出が起きた。それ以降は、徹底的にタブレットアプリの提供社数の拡大に舵を切った」という。その結果、提供社数は17年3月末70社から、18年3月末には127社への81.4%伸びた。アプリ提供台数は18年3月末に5万2656台と17年3月末比14.5%増になっている。
 
 また、フィデューシャリー・デューティーの関係では、販売会社のファンドのラインナップ変更需要などもあって、ファンド分析レポートの受注本数が17年3月期の721本から18年3月期には1249本と73.2%伸びた。
 
 朝倉氏は、タブレットアプリの提供拡大によって、アプリを使っている販売会社のPCやスマートフォンの投信ページの開発や提供データを受注することにつながっているという。「お客さまに投信を紹介する時に、モーニングスターのデータを使って説明すると、その後、お客さまが情報を確認する販売会社のWebページもモーニングスター仕様である方が違和感がない。スターレーティングで4つ★、5つ★のファンドの話を聞いておいて、Webページにその情報がないことは不便に感じるだろう」(朝倉氏)。その結果、ゴメス・コンサルティング事業部が行っているウェブサイトの開発者数が17年3月期の44社から18年3月期は52社に増えている。
 
 朝倉氏は、今後の重要施策としてタブレットアプリの提供社数を200社に伸ばすことを目標に上げた。「研修や勉強会といったアフターフォローをしっかり行うことで、当社のアプリ稼働率は高い。アプリ稼働率が高いほど、販売実績につながっているので、稼働率が上がらない販売会社、あるいは、販社の中でもアプリの利用率が低い販売員には積極的に勉強会などを働きかけている。結果的に、モーニングスターのアプリを導入すると投信の販売高が増えるという評判ができ、提供社数の拡大につながっている」と、販社数の拡大には確かな手ごたえがあるという。
 
 アプリについては、現在の「投信提案ツール(比較・合成チャート、ポートフォリオ分析、リスク・リターン分析)」から、顧客情報と連携させた「CRM連携」、そして、売買システムと連携した発注機能の実装へと、アプリとしての進化も視野に入っている。「アプリの提供を開始することで様々な可能性が広がる。投信販売の現場が、積み立て投資の推進へと大きな転換を遂げつつある中、当社のビジネスモデルを進化させる」(朝倉氏)としている。
 
 また、この日、スマートフォンアプリ「My仮想通貨」をリリース。1600の仮想通貨情報が手軽に確認できる。5月1日には「株式新聞」アプリもリリース予定している。既に同社のスマートフォンアプリ「株・投信情報」は61.5万ダウンロードになる人気アプリだが、新たなアプリを加え、アプリダンロード数の100万ダウンロードをめざすとしている。「将来的には、株、投信、仮想通貨、債券格付けなど様々な投資情報を一元的に把握し、資産形成に役立つプレミアムアプリを作り、課金可能なビジネスをめざしたい」と、直接、個人投資家に働きかける分野でも着実な歩みを進めるとしていた。(写真は、2018年3月期決算の発表会に臨むモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)