ドル円は米中の貿易問題への懸念が和らいだことで107円40銭までドル高が進む。株価も大幅高となり、金利も上昇したことでリスクがやや後退し、円はドル以外の主要通貨に対しても売られる。ユ-ロドルは続伸し、しっかりと1.23台に乗せる。一時は1.2368までユーロ高が進行。

 株式市場は朝方から大幅に続伸。習近平主席が市場開放に言及したことで貿易戦争への懸念が後退。ダウは428ドル上昇し、2万4000ドル台を回復。債券相場は下落。リスク回避の流れが後退したことで売り物が優勢に。10年債利回りは2.80%台に上昇。金、原油は共に続伸。

3月生産者物価指数 → +0.3%

ドル/円   106.94 ~ 107.40
ユーロ/ドル 1.2325 ~ 1.2368
ユーロ/円  131.93 ~ 132.59
NYダウ   +428.90 → 24,408.00ドル
GOLD   +5.80   → 1,345.90ドル
WTI    +2.09   → 65.51ドル
米10年国債 +0.022  → 2.801%

本日の注目イベント

中  中国3月消費者物価指数
中  中国3月生産者物価指数
英  英2月鉱工業生産
英  英2月貿易収支
米  3月消費者物価指数
米  3月財政収支
米  FOMC議事録(3月20、21日分)


 習近平国家主席が昨日アジアフォーラムの講演で「中国の開放の門は閉じない。ますます大きく開くだけ」と述べたことで、懸念されていた米中貿易戦争問題が後退し、ドル円ではドル高が進み、さらにユーロ円などのクロス円でも軒並み円が売られる展開でした。ドル円は107円40銭まで買われ、ユーロ円も約2カ月ぶりとなる132円台半ばまで円安が進みました。

 講演で習主席は、金融や自動車で外資の過半数出資を認め、米国からの自動車の関税を引き下げるとも述べています。トランプ大統領はこの内容に「中国の習国家主席による思いやりのある言葉に感謝する」とツイートしています。その前の日にも大統領は、米中貿易問題では中国が先に折れてくるといった発言をしており、トランプ氏の思惑通りに事が運んでいる印象です。まず最初に先制攻撃を仕掛けておいて、その後相手の出方を睨みながら落とし所を探っていく戦略が功を奏していると言えます。

 米中貿易問題解決の糸口がやや見えてきたことから、NY株式市場は朝方から買い物を集め大幅高で始まり、そのままのセンチメントを維持しながらほぼ高値圏で引けました。ダウは前日比428ドル上昇し、2万4000ドルの大台を大きく超えています。波乱が続いているナスダック市場も143ポイント上昇し、7000ポイントの大台を回復してきました。連日、上げても下げても値幅が大きく、市場参加者の困惑振りが見て取れますがこちらも投資家が落ちつき所を探っている状況です。

 株式市場に比べると値動きが鈍い為替市場ですが、3月下旬の頃のような急激な円高観測はなりを潜めています。それでもドル円は107円台半ばから上方が重く、シリア問題やさらにはトランプ大統領自身の疑惑などが再燃してきたことから円高観測も払拭できません。特にシリア問題では、先日トランプ大統領が「24時間から48時間以内には決断する」と発言していることから、再びミサイル攻撃の可能性も高まっています。ただ今回は昨年4月に突然攻撃した時の単独行動とは異なり、フランスやイギリスなども巻き込んでの行動になりそうです。

 ドル円は「8時間足」までの短期のチャートでは全て「雲抜け」を完成させており、現在は「日足」の雲の下限に張り付いている状況です。現時点ではこの雲は厚く、上抜けするには109円台半ばまで上昇する必要がありますが、この雲は右肩下がりを見せていることから1週間もたてば、106円台でも雲を上抜けすることになります。その意味では、時間が経過すれば雲を上抜けする可能性もあるかもしれません。

 本日のドル円レンジは106円70銭~107円70銭程度と予想します。ポイントはやはり、107円台の半ばを明確に上抜けできるかどうかです。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)