3月の雇用時計は全般的に予想を下回るものだったが為替への影響は軽微。ドル円は株価の大幅下落や金利低下を背景に106円78銭まで売られ、107円前後で越週。ユーロドルはやや反発したものの1.22台後半までで、1.23台には届かず。

 株式市場は再び大幅な下落。米中の貿易戦争は回避できるとの楽観的な見通しが、ムニューシン財務長官の発言で再びリスクが高まった。ダウは一時700ドルを超える下げを見せたが、引けでは572ドル安で取り引きを終える。債券相場は反発。通商問題で再びリスクが高まったことで買い物を集める。長期金利は2.77%台へと低下。金は反発し、原油は大幅に下落。

8月失業率        → 4.1%
8月非農業部門雇用者数  → 10.3万人
8月平均時給 (前月比) → +0.3%
8月平均時給 (前年比) → +2.7%
8月労働参加率      → 62.9%
2月消費者信用残高    → 106.01億ドル

ドル/円   106.78 ~ 107.41
ユーロ/ドル 1.2220 ~ 1.2291
ユーロ/円  131.16 ~ 131.62
NYダウ   -572.46 → 23,932.76ドル
GOLD   +7.60   → 1,336.10ドル
WTI    -1.59   → 61.95ドル
米10年国債 -0.059  → 2.773%

 本日の注目イベント

日  2月国際収支
日  3月消費動向調査
日  3月景気ウオッチャー調査
独  独2月貿易収支
米  IMF、世界景気見通し公表
加  カナダ3月住宅着工件数


 米中間の貿易戦争のリスクが一旦は治まり、何とか回避できるのではないかといった楽観的な見通しがありましたが、再びそのリスクが高まってきました。ムニューシン米財務長官は6日NBCとのインタビューで、中国との貿易問題について「慎重ながら楽観的だ」としながらも「貿易戦争になるリスクはある」と述べたことで、株価が急落しリスク回避の流れが強まったことから、ドルは107円を割り込み、一時は106円78銭まで売られました。

 もっとも、その前に発表された3月の雇用統計では、非農業部門雇用者が10万3千人と、予想を大きく下回ったことで、107円台半ばで推移していたドル円は107円台前半まで売られていました。2月の雇用者数が大きく上振れたことで、3月はその反動から、18万人程度と予想されていましたが、その予想を大きく下回っています。また注目された賃金は市場予想と一致しており、結局この日の下げは米中の通商問題が決め手でした。

 今朝の報道では、トランプ大統領はツイッターへの投稿で「中国は貿易障壁を下げるだろう。そうすることが正しいからだ」と述べ、米中貿易問題では、中国が先に屈服するだろうとの見方を示しています。(ブルームバーグ)そして同時に、何が起ころうとも「習国家主席と私は常に友人であるだろう」とも述べ、強気の姿勢を見せながらも時に柔軟な態度も見せるなどして、強弱をうまく使い分けている様に思えます。

 今回の措置で大豆の価格が急落しており、既に米国の一部の州ではその影響が出始めており、一方中国でもネット上で米国製品不買運動が起きているとの報道もあります。米国は中国の知的財産権への侵害に対して、既に1300品目にわたる関税引き上げ案を発表しています。最終的に発動されるまでにはその内容が軽減されると見られていますが、中国もそれに対する対抗措置を発表しています。

 米国の最終案次第では中国がさらに対抗措置を発表することも予想され、『伝家の宝刀』である「米国債の売却」を掲げるようだと、今度はその影響が金融市場を直撃することになり、市場が大混乱になることは必至です。実際に中国が保有している米国債を売却することは現実的ではないとは思いますが、その意思を表明しただけでかなりの影響が出ると思われます。

 ドル円は107円台半ばを試した後、下げてはいますがそれ程水準が下がっているわけでもありません。米中貿易問題はまだ予断は許しませんが、市場は徐々に消化してきていると考えられます。そのため3月下旬に見られたような急激な円高には振れていませんが、来週には日米首脳会談が行われ、そこで日米貿易問題や為替問題が議題になるようだと、一気に円高方向に振れる可能性は意識されます。

 本日のレンジは106円40銭~107円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)