中国の全人代で国家主席の任期が撤廃されたことは、習近平氏の長期政権の布石といえるが、折しも米国は、中国を主要なターゲットとした保護主義政策を打ち出している。大和総研の経済調査部長 児玉卓氏は3月23日、「中国における権力集中と米中摩擦の行方」と題したレポート(全2ページ)を発表し、緊張が高まる米中の貿易戦争の行方等について考察した。レポートの要旨は以下の通り。
 
 中国の全人代で国家主席の任期が撤廃されたことは、広く指摘されるように、習近平氏の長期政権の布石であろうが、同時に、こうした不穏な決定を強行できるほどに、習氏の権力掌握が進んでいることを示唆している。では、それは今後の中国の経済政策や外交、通商政策にどのような影響を与えるであろうか。トップダウンで政策を遂行する自由度が高まったことが、より慎重で現実的な政策を選択させるのか、或いは、力技で手にした権力をより盤石なものとし、求心力を高めることを目的に、必ずしも合理的ではない政策に訴える可能性がむしろ増しているのかが問題である。折しも米国は、中国を主要ターゲットの一つとした保護主義姿勢を強めている。輸出依存度の高い中国の合理的対応は、報復の回避に他ならないが、「中華民族の偉大な復興」に近づきつつあると宣言する習氏が、不合理な米国の攻勢に対し、合理的な対応に徹することは容易ではないかもしれない。米国の場合、中間選挙に向けた国内向けポーズという色彩が濃いが、事実上、国政選挙の存在しない中国にも、強権を正当化する上である種のポピュリズムが必要とされるということか。不合理の応酬が激化した時、スロートレードの復活、世界経済の混乱のリスクが高まる。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)