ドル円はトランプ大統領が中国に対する制裁的な関税引き上げに関する大統領令に署名したことで、貿易戦争への懸念が高まりリスク回避から円が買われる。ドル円は105円26銭までドル安が進み、この日の安値圏で取引を終える。ユーロドルではそれ程ドル安が進まず、1.2332を頭にもみ合い。リスク回避の流れが強まったことで、ユーロ円も下落し、129円台半ばまでユーロ安が進む。

 株式市場は対中貿易戦争への懸念が高まり大幅安。ダウは前日比724ドル下げ、2万4000ドルの大台を割り込む。債券は大幅に上昇。リスク回避が進み、安全資産の債券に資金が集まる。長期金利は2.82%台まで低下。金は続伸し、原油価格は反落。


新規失業保険申請件数   → 22.9万件
1月FHFA住宅価格指数 → +0.8%
2月景気先行総合指数   → 0.6%

ドル/円   105.26 ~ 105.81
ユーロ/ドル 1.2285 ~ 1.2332
ユーロ/円  129.49 ~ 130.24
NYダウ   -724.42 → 23,957.89ドル
GOLD   +5.90   → 1,327.40ドル
WTI    -0.87   → 64.30ドル
米10年国債 -0.059  → 2.824%

本日の注目イベント

日  2月消費者物価指数
米  2月耐久財受注
米  2月新築住宅販売件数
米  米暫定予算期限
米  ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
米  ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
米  カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
加  カナダ2月消費者物価指数
加  カナダ1月小売売上高

 昨日のこの欄でも述べましたが、トランプ大統領が幅広い中国製品を対象に関税を課すための大統領令に署名しました。米通商代表部(USTR)は、中国からの航空宇宙、機械、テクノロジーの輸入に対して25%の関税賦課を提案する考えを明らかにしています。ロス商務長官は、輸入関税の余波は深刻なものにはならないとし、今後交渉が行われることになると説明しています。(ブルームバーグ)

 大統領令を受けて、USTRは関税引き上げ対象リストを15日以内に取りまとめるようですが、既に高まっている米中通商関係が一段とエスカレートする懸念が広がっています。トランプ大統領は「ここまでたどり着くのに長い時間を要した」と述べ、「中国によって知的財産権が著しく侵害される状況が続いており、貿易への影響は1年間で数千億ドルに達する」と指摘しました。中国側はこれに対して報復措置を検討していると、ブル-ムバーグは伝えています。

 NYダウは700ドルを超える下落を記録し、2月初旬の株式市場の混乱が再び繰り返されそうな気配です。リスク回避が一気に進み、安全資産の債券が買われ、為替市場では円が主要通貨に対して全面高の展開になってきました。ドル円はNY市場では105円台を維持していましたが、今朝方には105円を大きく割り込み、円高がさらに加速する勢いを見せています。

 ドル円は105円という重要な節目を割り込んだことで、下値にはサポートが見つけにくい状況になっています。2016年11月には、米大統領選の結果が「サプライズ」だったことで、99円台まで円高が進む場面がありましたが、今回も再び円高の引き金を引いたのはトランプ大統領で、これも何かの巡り合わせのような気もします。

 本日はNY株の大幅下落と円高が急速に進んだことから、日経平均株価の大幅安は避けられないでしょう。上下を繰り返しながらも、103円台までドル安が進む可能性も否定できません。財務省から『口先介入』が出ることは予想できますが、この段階で実弾による市場介入は考えにくいと思われます。

 予想レンジは104円~105円30銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)