リーマンショック後に中国政府が打ち出した「4兆元(約57兆円)」の景気対策や8%のGDP成長率を維持する「保八」政策は、その後の中国経済の回復や世界経済の落ち着きにつながった。ただ、この時を機会に膨張した地方政府政府や非金融企業部門などの債務残高は、金融危機をもたらす懸念があるという。大和総研経済調査部の主席研究員の齋藤尚登氏と研究員の永井寛之氏は3月1日、「中国は金融危機を回避できるのか?」と題したレポート(全16ページ)を発表し、中国の債務引下げなどの現状と見通しを分析した。レポートの要旨は以下の通り。

 中国の非金融企業部門を中心とする債務残高は、金融危機や景気の急減速が生じることが強く懸念されるレベルに積み上がっている。当面は問題の先送りが可能であろうが、中長期的には金融危機的な状況が生じる可能性は否定できない。

 デレバレッジの前に、国有企業の収益性や製品の付加価値を高めることに資する政策の推進がなされるべきであろう。そして、拙速なデレバレッジは禁物である。中国が企業の債務レバレッジの引き下げを急激に進めれば、企業倒産・失業者の急増や信用収縮が発生し、経済に大きなダメージを与え得る。デレバレッジを漸進的に進める以外に、ソフトランディングの道はない。

 さらに言えば、企業債務の膨張には、企業の資金調達手段として銀行貸出といった間接金融への依存度が極端に高く、直接金融(株式市場)が有効に機能していないという問題も大きい。企業債務問題のソフトランディングには、国有企業改革と資本市場改革の推進が不可欠であろう。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)