■投資分野における世界の金需要動向 2017年第3四半期

 今回は、2017年第3四半期を概観したワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のGold Demand Trend Q3, 2017の投資分野における需要を参考に簡単にまとめてみたいと思います。

 次の三点がポイントになるかと思います。

(1)金ETFは2016年のレベルから需要が低下し、流れ込みが大幅に減少
(2)地金とコインは、前年同期比で17%増
(3)中国の個人投資家が地金とコイン投資を牽引

 前年の第3四半期と2017年の第3四半期を比較すると、全体では28%減少しています。金ETFは、前年同期比で、87%も減少しています。

■世界的な動向概略

 まず、2016年第3四半期に欧州において金関連ETPへの流れ込みが大幅増加しましたが、その流入が大幅減少しました。その分、地金・コインの需要が伸長。特に中国が地金、コイン需要を牽引しました。引き続き、インドはGSTの影響をまだ引きずった状態にあると思われます。ドイツやトルコの金需要の堅調さが目立ちます。引き続き、地政学的リスクは金市場に影響を与え続けていると思われます。

 ETPの減少に関しては、2016年は、欧州における金融緩和、地政学的リスクなどにより大幅に増加しましたが、2017年はETFを中心とした流入に対しては手掛かり材料が乏しかったと考えられます。

 金地金とコインへの投資では、中国が金の最大消費国として牽引していることを示しています。これは、人民元の下落懸念・インフレ懸念などのマクロ的な要因、不動産投資規制などの要因が考えられるようです。また、世界第2位の金消費国であるインドも先ごろ導入されたGSTの影響などから需要の低迷に至っていることが推測され、インドの金消費のサイクルへ大きな転機に差し掛かっているとも推測できます。この二つの大国マクロ経済、経済状況の若干の変化は、今後の金の需要に大きなインパクトを与えると思われます。

■最後に

 北朝鮮をめぐり地政学的リスクは、平昌冬季オリンピックをめぐり若干緩和したように見えていますが、リスクとしては依然としてあるといってよいでしょう。オリンピック後の世界情勢は金にどのような影響を与えてくるか注目されるところです。

 株式市場の好調、2017年12月の仮想通貨の高騰など、このところ金をはじめとした貴金属を投資を取り巻く環境は大きく動いています。このような状況の中、2018年のみなさんの投資戦略とポートフォリオを見直す材料は多いと思われます。

 そう考えると、「有事の金」をといった視点に加え、「ポートフォリオの中の金」の位置づけを考えるチャンスかもしれません。

 今日は、投資分野における世界の金需要動向について触れてみました。

(注)ETPについてエクスチェンジ・トレード・プロダクツ(Exchange Traded Products)の略。ETFのほか、商品・コモディティ指数と連動したエクスチェンジ・トレード・コモディティ:ETC、特定指数と連動し証券市場で取引されるエクスチェンジ・トレード・ノート:ETNの三つを含めたもの。

【参考文献】本コラムも前回同様World Gold Council, Gold Demand Trend Q3,2017 9th November 2017よりまとめました。(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)