ドル円は黒田日銀総裁が記者会見で出口政策を否定したにもかかわらずドル安が進む。110円25銭までドルが売られ、米金利の低下やトランプ大統領の保護主義が材料に。ユーロドルでもドル安が進み、ユーロは一時、今月17日以来となる1.23台まで上昇。株式市場続は続伸したものの、ダウは引けにかけて小幅安に。ネットフリックスの好決算がハイテク株を押し上げる。ナスダック指数は57ポイント上昇し、連日の最高値更新。債券相場は続伸。長期金利は2.61%台へと低下。金は反発し、原油は続伸し64ドル台を回復。

1月リッチモンド連銀製造業指数  → 14

ドル/円110.25 ~ 110.55

ユーロ/ドル1.2246 ~ 1.2306

ユーロ/円  135.27~ 135.72

NYダウ  -3.79 → 26,210.81ドル

GOLD  +4.80 →1,336.70ドル 

WTI   +0.90 → 64.47ドル  

米10年国債 -0.035 → 2.615%

 
本日の注目イベント

日  12月貿易収支
独  独1月製造業PMI(速報値)
独  独1月サービス業PMI(速報値)
欧  ユーロ圏1月総合PMI(速報値)
欧  ユーロ圏1月サービス業PMI(速報値)
英  英12月雇用統計
米  11月FHFA住宅価格指数
米  12月中古住宅販売件数
米  企業決算 → GE、コムキャスト

 今回は特に注目された昨日の午後3時半からの記者会見で、黒田日銀総裁は、市場に広がっている「疑念」を明確に否定しました。市場が「リバーサルレート」や「買いオペ減額」を材料に、「金融政策変更への布石」ではないかと不安視したことに対して、「金融緩和の出口には至っていない」と述べ、「2%の物価上昇を出来るだけ早期に実現するため金融政策を粘り強く続ける」と語り、市場の疑念を一蹴しました。

 昨日は日銀の金融政策決定会合を巡る思惑からドル円は神経質な動きを見せ、110円台半ばから111円台前半の間で何度か上下しました。昼前に政策の据え置きが伝えられたものの、予想物価上昇率を巡る表現では前回の「弱含みの局面が続いている」から「横ばい圏内で推移している」に変更されたことで、出口に近付いたと受け止められ、110円台後半から110円台半ばまで円高が進む場面がありました。

 黒田総裁の記者会見が始まると、上記の発言を手がかりに徐々にドルが上昇し、111円15銭前後までドル高が進みましたが、その近辺を頂点に上昇の勢いはなくなり、その後は再び110円台半ばに向けて下落軌道を辿っています。NYでは長期金利の低下もあり110円25銭まで円高が進み、結局総裁の「火消し役」も効果は短命で終わりました。

 FRBが今年3回の利上げを見込み、ECBも早ければ 年内に資産購入を停止する可能性もある中、日銀だけが出口の見えない状況に置かれています。以前にも何度か注目された「中銀の金融政策の方向性の違い」から円は売られ易いと考えられますが、足元の相場展開は金利差にも反応しなくなっています。

 年初から強まったドル安円高の背景は、主に2つだったと考えており、その一つであった「日銀の金融政策への不透明感」はこれで払拭されたと思われますが、それでもドル安の流れは変わっていません。正直なところやや困惑気味ですが、もう一つの材料が足元のドル安のドライバーになっているのかもしれません。それはユーロやポンドなどの主要通貨で「ドル安」の勢いが増していることです。ユーロドルは既に3年ぶりのユーロ高を示現し、ポンドドルもあの「Brexit」で大きく売られた以前の水準を記録しています。いずれもドル安の裏返しであることから、ドル円でも「ドル安円高」方向への圧力が強まっていると考えられます。このままでいけばユーロ円などのクロス円はさらに上昇することも考えられます。

 ドル円は再び110円割れを試している印象です。110円前後にはドル買い需要も多いという情報もありますが、もし明確に割り込むと市場参加者の相場観が大きく円高方向へと修正させられることも予想されます。逆にここでも110円台が維持できれば、再び112円方向へと上昇することも考えられます。市場の関心は明日のECB理事会とドラギ総裁の会見に移りました。本日のドル円は109円50銭~110円50銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)