■金のテクノロジー分野での需要、利用について

 これまで、プラチナの工業分野における利用については言及してきました。プラチナは自動車の排ガス浄化の触媒として使われており、水素自動車では通常の4倍使用されるため将来の自動車の標準によってはプラチナが値上がりする可能性もあります。ただ、現時点ではまだ、将来の自動車の標準仕様は見えてこないのが現実です。

 さて、金はどうでしょう?金の医療分野における利用はすでに本コラムのシリーズでも言及しました。歯科医療における利用と減少傾向、新しい技術確認などに触れました。金の場合、言われてみればそうだったのか、という利用が多いように思われます。

 私たちにとって馴染みのある分野としては、「都市鉱山」といわれるスマートフォンやコンピュータの基盤における金の利用などがありますが、以下では、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の「ゴールド・デマンド・トレンド 第2四半期」(2017年8月3日)を参考に、テクノロジー分野における利用をみてみましょう。

■金をめぐる科学技術あれこれ

 エレクトロニクス分野で金が使用されている部門として、ボンディングワイヤ、LED、PCB(プリント基板)と三つの主要な利用が挙げられています。

2017年第2四半期における金の産業利用状況(単位:トン)

テクノロジー     :81.3トン(前年同期比+2%)
エレクトロニクス   :64.3トン(前年同期比+2%)
その他産業用途    :12.7トン(前年同期比+1%)
歯科用途       : 4.3トン(前年同期比-5%)

出典:ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の「ゴールド・デマンド・トレンド 第2四半期」(2017年8月3日)日本語版P.12を参考にSBIゴールドが要約

 ボンディングワイヤとは、半導体の電極の接続に使われるもので金や銅が使われています。またプリント基板もPC、スマートフォンに使われており、WGCによれば、ワイヤレス充電器での利用が増えていることを指摘しています。

 LEDはみなさんご存知の技術。WGCによれば、車の衝突回避などのセンサー技術にも使われており自動車部門における需要回復を指摘しています。

 このように、私たちの生活に必要でありながら、隠れたところに金を使った技術が使われていると言ってよいでしょう。まさにたくましい金といったところでしょうか。

■金、プラチナをめぐるイノベーションと今後の需要

 経済学者のシュンペーターは、経済発展におけるイノベーション(技術革新)の役割を説きました。金にしてもプラチナにしても、今後のイノベーションによっては私たちの生活をさらに向上させることも考えられます。

 もっともこうしたイノベーションは需要のあり方を変え、投資商品としての位置づけ、役割も変えていくことも想像されると言ってもよいでしょう。

 地政学的なリスクに含めこうした技術の行方も金価格や存在価値にとって重要な視点と考えられます。メディアに掲載される金を使ったテクノロジーについては常に注目したいものです。(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)