中国経済が緩やかに減速している。大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は11月21日、「中国:住宅販売低迷と環境規制の影響が出現」と題したレポート(全8ページ)を発表し、住宅販売面積が9月、10月と連続で前年割れになったことに注目している。齋藤氏はレポートで「実質GDP成長率は、これから春までの間に四半期ごとに0.1%ポイント~0.2%ポイントずつ減速していく可能性が高い」と見通している。レポートの要旨は以下の通り。
 
◆11月中旬の現地取材では、10月の小売売上の減速は11月11日の「独身の日」から年末にかけて実施されるネット販売の大セールを前にした「買い控え」が主因であるとの指摘が多かった。一方で、気がかりなのは住宅販売低迷による関連消費への影響である。住宅販売面積は1月~2月の前年同期比23.7%増(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)から減速し、単月では9月に5.7%減と2015年3月以来の前年割れとなり、10月は8.6%減とマイナス幅が拡大している。
 
◆固定資産投資は1月~3月の9.2%増を直近のピークに減速が続いており、1月~10月は7.3%増となった。単月では3月の9.5%増から10月は3.2%増へと伸び率が大きく低下している。不動産開発投資は住宅販売の鈍化、製造業投資は過剰生産能力削減を目的とした新規投資の抑制など、それぞれ要因があるが、多くの分野に共通するのは、環境規制強化の影響である。5年に一度の党大会の開催年である今年は、統制や党の指導が例年以上に厳しくなされており、環境規制も一段と強化されている。当然、汚染物質を多く排出する一部工場の操業は停止されるが、それだけではなく、砂塵を巻き上げるような一部工事も規制の対象となっており、これはインフラ投資とて例外ではない。
 
◆今後、11月、12月はネットセールの活況が消費を下支えするが、来年1月~2月にはその反動による減速が想定される。住宅販売不振による関連消費へのマイナスの影響は今後しばらく続く見通しである。さらに、例年以上に厳しい環境規制は来年3月までの固定資産投資や生産の抑制要因となろう。2017年7月~9月の実質GDP成長率は6.8%であったが、これから春までの間に四半期ごとに0.1%ポイント~0.2%ポイントずつ減速していく可能性が高いとみている。2017年の実質GDP成長率は6.8%程度、2018年は6.3%程度となろう。2018年の成長率の低下は、主に住宅販売不振に伴う関連投資・消費の減速によると想定している。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)