大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は10月27日、「30年間の『強国』長期構想を発表」と題したレポート(全1ページ)を発表し、中国共産党大会で習近平総書記が示した「社会主義現代化強国」をめざす政治報告への注目を促した。「この長期構想は概念的なものであり、具体性に欠けるが、今後、30年計画のような長期ビジョン計画を策定する布石なのかもしれない」として、今後の議論の深まりを注視するとしている。レポートの要旨は以下の通り。
 
 10月18日に開幕した中国共産党第19回全国代表大会(党大会)では、初日に習近平総書記が「小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成の決戦に勝利し、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取ろう」と題する政治報告を行った。
 
 この中で習近平総書記は「長期にわたる努力を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った」と宣言した。新時代とは、2020年(中国共産党創立100周年は2021年)までに小康社会の全面的完成を実現した上で、21世紀半ば(新中国成立100周年は2049年)までの30年間を2段階に分けて「社会主義現代化強国」を実現する時代とされた。
 
 第1段階は2020年から2035年までであり、社会主義現代化を基本的に実現する。具体的には、以下の6点が基本的に実現しているという。
 
(1)経済力・科学技術力が大幅に向上し、イノベーション型国家の上位に上り詰めている、
 
(2)人民の平等な参加・発展の権利が十分に保障され、法治国家・政府・社会が基本的に構築され、様々な制度が一層充実し、国家統治システム・能力の現代化が基本的に実現している、
 
(3)社会の文明度が新たなレベルまで高まり、国の文化的ソフトパワーが著しく補強され、中華文化に、より広く深い影響力が備わっている、
 
(4)人民の生活がより豊かになり、中所得層の割合が顕著に高まり、都市・農村間、地域間の発展格差や住民の生活水準格差が著しく縮小し、基本公共サービスの均等化が基本的に実現し、全人民の共同富裕が堅実なスタートを切っている、
 
(5)現代的社会統治の枠組みが基本的にできあがり、社会に活気が満ち溢れ調和と秩序も備わっている、
 
(6)生態(エコ)環境が根本的に改善し、「美しい中国」の目標が基本的に達成されている。
 
 第2段階は2035年から21世紀半ばまでであり、中国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げるとしている。その将来像として、「(1)物質文明・政治文明・精神文明・社会文明・生態文明が全面的に向上し、(2)国家統治システム・能力の現代化を実現し、(3)トップレベルの総合国力と国際的影響力を有する国となり、(4)全人民の共同富裕が基本的に実現し、人民がより幸せで安心な生活を送り、(5)中華民族はますます溌剌として世界の諸民族の中にそびえ立っている」ことを掲げた。
 
 この長期構想は概念的なものであり、具体性に欠けるが、今後、30年計画のような長期ビジョン計画を策定する布石なのかもしれない。これが政策としてある程度具体化されると、経済・社会の質的向上に向けた動きが加速する可能性があろう。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:(C)vvoennyy/123RF)