10月18日に開幕した中国共産党の党大会は、今後の中国社会の方向性を決める重要な会議として注目されている。初日に行われた習近平総書記による政治報告は、3時間半におよぶという発言時間の長さもさることながら、今後30年間を展望して「中国の特色ある社会主義は新時代に入った」と宣言した。大和総研経済調査部の主席研究員 齋藤尚登氏は10月19日に「中国:30年間の『強国』長期構想を発表」と題したレポート(全3ページ)を発表し、習氏の政治報告のポイントを整理した。レポートの要旨は以下の通り。
 
◆10月18日に開幕した中国共産党第19回全国代表大会(党大会)では、初日に習近平総書記による政治報告が行われた。この中で習近平総書記は「中国の特色ある社会主義は新時代に入った」と宣言した。新時代とは、2020年までに小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成を実現した上で、21世紀半ばまでの30年間を2段階に分けて「社会主義現代化強国」を実現する時代とされた。この長期構想は概念的なものであり、具体性に欠けるが、今後、30年計画のような長期ビジョン計画を策定する布石なのかもしれない。これが政策としてある程度具体化されると、経済・社会の質的向上に向けた動きが加速する可能性があろう。
 
◆「新時代の中国の特色ある社会主義」思想というキーワードも注目される。政治報告では、「新時代の中国の特色ある社会主義」思想は、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、「3つの代表」重要思想、科学的発展観を継承し発展させたものであり、全党・全国人民が中華民族の偉大な復興の実現に向けて奮闘する上での行動指針であり、長期にわたって必ず堅持し、かつ、不断に発展させなければならない、とした。同思想が、党規約の行動指針に明記されることはほぼ確実視される。
 
◆習近平総書記の指導思想が党の最高規則である党規約に行動指針として明記されれば、今後、習氏の発言ひとつひとつの重みが大きく増してくる。習氏への権力集中が手段であれば、その後の改革(目的)が加速する可能性がある。一方で、権力が暴走・迷走しないための抑止力については、少なくとも政治報告からは読み取ることができなかった。差し当たっての注目点は、10月25日に開催される第19期中央委員会第一回全体会議(一中全会)で選出される中央政治局常務委員の顔ぶれが、ある程度バランスのとれたものとなるか否かであろう。(情報提供:大和総研)(写真は、中国・北京の人民大会堂。提供:(C)Anzhela Buch/123RF)