ドル円は反発。イエレン議長が講演で利上げに前向きな発言をしたことを材料に112円49銭まで上昇。ただ112円台半ばを抜けきれずにその後は112円台前半まで押し戻される。ドル高が進み、ユーロドルは1.1758まで売られ、約1カ月ぶりのユーロ安水準まで下落。

 株式市場は朝方は上昇で始まったものの、ダウは小幅安で引ける。S&P500は小幅に上昇したものの、イエレン議長の発言がやや重石に。イエレン議長の発言を受けて債券は小幅に反発。長期金利は2.23%台とやや上昇。金と原油はともに反落。


ドル/円111.92 ~ 112.49
ユーロ/ドル1.1758 ~1.1810
ユーロ/円  131.75~ 132.59
NYダウ  -11.77 → 22,284.32
GOLD  -9.80 →1,301.70ドル 
WTI  -0.34→ 51.88  
米10年国債  +0.016 → 2.236%


7月ケース・シラ-住宅価格指数   →  +5.81%
8月新築住宅販売件数        →  56.0万件
9月消費者信頼感指数        →  119.8
9月リッチモンド連銀製造業指数   →  19

本日の注目イベント

中   中国 8月工業利益
欧   ユーロ圏8月マネーサプライ
米   8月耐久財受注
米   8月中古住宅販売成約指数
米   ブレイナード・FRB理事講演
米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米   ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演


 昨日111円台半ばまで売られたドル円は一転して112円49銭まで反発し、1日でセンチメントが変わる、やりにくい展開です。FRBのイエレン議長が講演を行い、その中で、「インフレ率が目標の2%に戻るまで金融政策を据え置くのは賢明ではない」と発言し、緩やか過ぎるペースでの利上げに当局は注意すべきだとの認識を示したことがドルを押し上げました。

 ドル円は112円台半ばまで買われましたが、このレベルは先日の高値でもあり、投資家はここからのドル買いには慎重になっていると見え、このレベルからは反落しています。北朝鮮問題では北朝鮮側からコメントが出るたびにドルが売られますが、一方で先週20日のFOMC以降、12月の利上げ観測がドルの下落を抑える構図になっており、この日のイエレン議長の発言で、12月に利上げをしたいというイエレン議長の「悲願」が伝わってくるような気もしました。

 イエレン氏は来年2月に任期を終える予定で、その後継続するのかどうかはわかりませんが、自身の健康上の理由もあり、個人的には仮に再任を要請されても辞退するのではないかと予想しています。そうだとすれば、12月か来年1月のFOMCの2回しか、在任中での利上げのチャンスは残っていません。任期中に出来るだけ金融政策のフリーハンドを得るために、通常の金利水準に戻したいのは、もはや「悲願」と言ってもいいのではないでしょうか。

 この日のドルの上昇はこの発言だけではなかったようです。アトランタ連銀のボスティック総裁も「12月の段階で金利を変更しようという考えについて、現時点で極めて満足している」と述べています。また本日にはトランプ政権の柱の一つである税制改革の概要が明らかになることもドルにとってはプラスに作用しています。ただ、税率が15%になるのか20%台のどこに決まるのかによっては、失望のドル売りにつながらないとも言えません。

 ドル円は112円台半ばがやや上値の壁になりつつあります。先週のFOMC以降111円割れは示現しておらず、底堅い動きを見せていますが、これは「日足の雲」がドルをサポートしていると見られます。一方上値の方は、112円59銭がドルの天井になっており、昨日もそうですが、112円台半ばを抜く力はないように見えます。北朝鮮問題が常に意識の中にあり、武力衝突の可能性は低いと言っても、言葉のトーンを聞く限りエスカレートしているのも事実です。

 このような状況下では、短期的にはドル高トレンドだとしても、さらなるドル買い材料が出ないと115円方向に持っていくのは簡単ではありません。ユーロドルが1カ月ぶりに1.17台まで下落したことを考えると、ユーロの上昇にやや天井感が出たのではないかと同時に、ドル高傾向が維持されていると感じます。次のインパクトのある材料までは112円台半ばより上ではドル売りで、111円台半ばより下ではドルを買うスタンスが機能しそうです。

 本日は111円70銭~112円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)