今年5月に成立した改正銀行法において「オープンAPI(他のシステムの機能やデータを安全に利用するための接続方式)の体制整備」が銀行に求められた。メガバンクで先行するフィンテック(FinTech:金融テクノロジー)の活用が一段と加速する見通しだ。FinTech協会は9月22日、東京・大手町のFINOLABにおいて、「API」をテーマにした記者向け勉強会を開催。メガバンクグループ3社を始め、銀行との連携によるサービス提供を計画するフィンテック企業が参画して現在までの取り組みと今後の展望について情報交換した。

 メガバンクのオープンAPIの取り組みは銀行業界の先端にあり、「決済」を伴うあらゆるフィンテックのインフラとして整備されつつある。既に、MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)では、開発者向けのAPIポータル公開に向けて準備中という。APIポータルへのアクセスには一定の審査をクリアすることを求めるが、各種API仕様、サンプルコード等を開発者に開示することで、アプリ等の開発を支援する考え。

 みずほフィナンシャル・グループはオープンAPIの活用によりあらゆる産業・業種に視野を広げてビジネス創出をめざすインキュベーター企業であるBlue Lab社を設立して地方銀行や様々な企業との連携を進めている。日本初のフィンテック関連拠点として知られるFINOLABにもオープンAPIの開発環境を提供している。

 また、SMFG(三井住友フィナンシャルグループ)ではNTTデータのAPI接続共通基盤を利用し、既に約80行にインターネットバンキングを提供するNTTデータのサービス利用銀行との連携が取りやすい体制を構築。フィンテック関連企業とのオープンイノベーション拠点として東京・渋谷に「hoops link tokyo」を設置した。

 一方で、金融ベンチャーとして急速に成長を遂げている住信SBIネット銀行は、2016年3月からAPI解放に踏み切り、フィンテック関連企業との連携を深めている。

 フィンテック関連企業では家計簿アプリで知られるマネーフォワードが東証マザーズに上場するなど、オープンAPIを追い風にする企業が育ってきた。おつり貯金で知られる「Finbee」を展開するネストエッグ、クラウド会計ソフトを提供するFreeeなど、銀行との連携サービスの開発に力が入る。「更新系API(アクセスしたデータを書き換えるためのAPI)」で不正が起こった場合、責任の所在をどうするかなどのセキュリティ問題などに銀行とともに取り組んで、課題をクリアしていきたいとしている。

 安倍内閣の成長戦略である「未来投資戦略2017」では、今後3年以内に80行の銀行がオープンAPIの導入、そして、今後10年間で日本のキャッシュレス決済比率を倍増し40%程度とすることを目標に掲げている。改正銀行法によって一段と開発に拍車がかかった日本のフィンテックは、日本のお金の事情を急速に変えていきそうだ。(写真は、9月22日の勉強会に参加した各社の代表者)