「三井住友・日本株・成長力ファンド(愛称:杉の子)」は2017年8月末基準でモーニングスターレーティング最高格付けの5つ★に格上げされた。3年(年率)トータルリターンが15.99%とカテゴリー(国内中型グロース)平均(11.29%)を大きく上回っている。同ファンドの運用について、同社の株式運用グループ シニアファンドマネージャー国内株式グロース運用担当の上村孝広氏(写真)に聞いた。

 ――「杉の子」は9月30日で設定から18周年を迎える。過去10年以降の運用成績は、過去5年、過去1年など、どの期間を見てもカテゴリー平均を上回っているが、設定来の成績ではベンチマークに負けている。この理由は?

 ファンドは、ボトムアップアプローチによって「今後の成熟社会においても利益成長が可能な企業」を選定し、中・長期でベンチマークを上回る成績をめざしている。私は設定当初から運用チームに参加しているが、ファンドを設定した直後にITバブルの崩壊に直面し、当初は運用に大変苦労した。

 リーマンショック後の2009年にファンドの主担当を引き受けるにあたって、銘柄選定の作業プロセスを再構築した。それまでの反省も踏まえ、成長企業を絞り込む精度をより高め、効率化することができた。その結果が2009年以降のパフォーマンスに表れていると思う。

 日本経済に大きな成長が見込みにくい中、持続的な利益成長が可能なテーマをあらゆる業種にわたって挙げ、その関連企業の変化を月次で記録している。それをファンド設定から継続することによって、「メガトレンド」といえる大きな産業構造の変化を整理している。「杉の子」の運用チームが築き上げてきた成長企業発掘の手法は、他社が追随できない水準になってきていると自負している。

 ――具体的な銘柄選定のプロセスは?

 たとえば、機械の産業では、欧州や中国で2040年までにガソリン・ディーゼル車を廃止する方針が固まり、自動車メーカーは、電気自動車の開発に前のめりになっている。電気自動車のアイデアは古くからあるが、期日が設定されたことで、この分野でメリットを受ける企業がクローズアップされてきている。

 このような国や地域の制度の変更、人口動態の変化など、予測可能な大きな社会的な変化がある。あらゆる業種に成長テーマはいくつもあり、それぞれのテーマに関連企業が数社存在する。その中から、より大きく長い期間にわたって恩恵が受けられる企業をピックアップしてファンドの組入れ対象銘柄にしている。

 特にリーマンショック後は、成長テーマを絞り込まず、より幅広く取り入れるように意識した。その結果、マクロ経済の変調や為替のブレなど、経済成長の前提条件が変わっても、市場平均を安定的にアウトパフォームできるようになってきた。

 当社の国内企業調査アナリストは約20名で、国内の運用会社の中でもトップクラスの調査力を有している。加えて、当ファンドは4名のファンドマネージャーでチーム運用しているが、1人当たり年間で400件-500件のリサーチ活動を行っている。一般の企業調査ではカバーしきれないような小型企業を中心にファンドマネージャーが直接情報を集めている。この蓄積も大きいと感じている。

 ――現在の投資環境は?

 8月末現在166銘柄に投資しているが、1年ほど前は120銘柄程度で、この1年間で投資対象銘柄が広がった。成長テーマが増えていることの表れで、このような時には経験的にはパフォーマンスが出やすい。

 たとえば、国内では「働き方改革」に本腰が入っている。残業対策で人材派遣会社の活用が進み、早帰りが広がることで、チョイ飲みなど外食産業が潤うなど、産業構造の変化も起こり始めている。また、電気自動車の動きと並行して、自動車産業では自動運転技術の開発が加速度を増している。中国のEコマース(電子商取引)の規模は、日本企業を巻き込んで成長している。「働き方改革」に代表されるような、ライフスタイルを変えてしまう変化がいくつも出てきている。これは、このファンドを立ち上げて以来、もっとも大きな変化の時期だと感じている。

 ――どのような投資家にふさわしいファンドと考える?

 ファンドの投資スタンスが3年以上の中・長期なので、このファンドにも、是非、長い目で投資していただきたい。マザーファンドは、確定拠出年金など毎月の積立を前提にした長期の資金に応えるファンドとして運用している。「杉の子」も、積立投資のようにコツコツと、長い投資姿勢で臨んでいただきたいと思う。(情報提供:モーニングスター社)