5年に1度開催される中国共産党大会が開幕する10月18日が近付いている。大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は9月20日、「中国:党大会後に成長率は大きく下がる?」と題したレポート(全8ページ)を発表した。レポートは、今年発表された経済指標を振り返り、「中国経済は1-6月の実質GDP成長率6.9%をピークに、緩やかに減速している可能性がある」としている。レポートの要旨は以下の通り。
 
◆中国では、「5年に1度の党大会が開催される年は、成長率が高くなる」と言われる。確かにかつてはそうであったが、前回の第18回党大会が開催された2012年にはこうした動きは観察されず、今回は、2017年1月~6月の実質GDP成長率は前年同期比6.9%(以下、変化率は断りのない限り、前年比、前年同期比、前年同月比)と、2016年の6.7%からは0.2%ポイントの加速にとどまっている。
 
◆党大会が開催される年は無理をして高めの成長率を追求するために、翌年(今回で言えば2018年)の成長率はその反動で大きく減速する、という話もよく聞く。しかし、1998年の景気の大幅減速はアジア通貨危機、2008年はリーマン・ショックを契機とする世界的な金融危機の影響が主因であり、前年の党大会の終了が直接的な原因ではない。
 
◆政治サイクル的な景気の加速や減速は、かつてのイメージに引きずられた感があり、2012年の第18回党大会前後以降は、巷間で意識されているほどのものではない。実際、党大会を目前に控えた足元でも固定資産投資の加速は観測されず、むしろ減速が続いている。相対的に堅調なのは消費であり、これは従前から政治サイクルとはあまり関係がない。10月18日に開幕する予定の党大会の終了が、中国の景気を大きく減速させるきっかけとなることは考え難い。
 
◆2017年8月の主要経済統計を見ると、鉱工業生産は7月の6.4%増⇒6.0%増、以下同様に小売売上(名目)は10.4%増⇒10.1%増、輸出は6.8%増⇒5.5%増、固定資産投資は1月~7月の8.3%増⇒1月~8月は7.8%増など、軒並み伸び率が縮小した。こうした傾向は、7月以降続いており、中国経済は1月~6月の実質GDP成長率6.9%をピークに、緩やかに減速している可能性が高い。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:(C)lsgwzdw/123RF)