ドル円は大幅に続伸し、109円台半ばまでドルの買い戻しが進む。北朝鮮リスクがやや後退したことや、ハリケーン「イルマ」の被害が想定されたよりも軽いとの見方からドルの買戻しが活発になる。ユーロドルでもドル買いユーロ売りが優勢となり、1.1948までユーロ安ドル高が進む。米国株は大幅に続伸。ハリケーン「イルマ」の被害が当初予想を下回ると見られ、北朝鮮リスクもやや後退したことを好感。ダウは前日比259ドル上げ、8月16日以来となる2万2千ドル台を回復。S&P500は最高値を更新。債券相場は大幅に下落。リスクオフが後退したことで利益を確定する売りが出た。長期金利は2.13%台へと大幅に上昇。ドルが買われたことで金は15ドルを超える下落。原油は小幅に反発。

ドル/円108.58~ 109.51

ユーロ/ドル1.1948~ 1.2041

ユーロ/円  130.26~ 130.91

NYダウ  +259.58 → 22,057.37

GOLD  -15.50 → 1,335.70ドル 

WTI  +0.59→ 48.07  

米10年国債  +0.080 → 2.131%

 
本日の注目イベント

英  英8月物価統計
   OPEC月報

懸念されていた国連安保理での制裁決議案が、中国、ロシアの立場を配慮し制裁内容が事前に下方修正されていたことが判明。北朝鮮への石油全面禁輸を取り下げ、一定の上限を設ける内容に変更されていました。日本時間の本日午前中には採決される見通しですが、米国側の譲歩を好感して、リスク回避の動きが一気に巻き戻され、ドル円は109円51銭まで上昇しました。

 昨日のNYでのドル急騰劇は、基本的にはドルのショートカバーであると思われ、新規のドル買いにはつながっていないと見ています。現時点では安保理の決議はまだ不透明で、議案の修正や、中国・ロシアが拒否権を行使することも考えられます。また、リスク回避が後退したもう一つの理由は、ハリケーン「イルマ」の存在でした。「イルマ」はフロリダ半島に上陸し被害も出ていますが、当初21兆円程度に膨れると見られていた被害額が、想定よりも少なくなることを好感しています。シティグループは被害額が500億ドル(約5兆5000億円)程度になるとの試算を発表しています。

 これらを背景に、株式市場ではダウは前日比260ドルに迫る上昇を見せ、約4週間ぶりに2万2千ドルの大台を回復し、S&P500も最高値を更新しました。債券市場でも、リスクが後退したことで大きく売られ、長期金利は2.13%台へ上昇し、ドルを支えています。

 北朝鮮への原油全面禁輸は避けられたようですが、経済制裁は強化され今後じわじわ影響がでることも予想されます。これに対して、北朝鮮は再度挑発的な言動を繰り返してくるものと思われます。本コメントを書いている間に、安保理での制裁決議が採択されたようです。制裁内容は当初のものから軽減されましたが、米国のヘーリー国連大使は北朝鮮の核開発プログラムを阻止するためには米国が単独でも行動する用意があると、制裁決議後に述べています。(ブルームバーグ)

 ドル円は先週末に107円32銭まで売られたものの、わずか1日で2円以上もの反発を見せています。前述したように、これは売ったドルの買い戻しが主因だと思われ、北朝鮮情勢とbr>ハリケーン「イルマ」に振り回された結果です。ここが落ち着けば、来週のFOMCでバランスシート縮小開始のヒントがあるのかどうかと、その先の利上げの有無がカギになります。バランスシートの縮小開始に関してはメンバーの中でもそれほど意見が分かれていませんが、問題は今年3回目となる利上げです。仮に今後の経済データが軟調に推移し、インフレ率が上昇しないようだと利上げの可能性が後退することになり、ドルの上値は抑えられることになります。

 次期FRBの議長、副議長人事や、法人税減税の落ち着きどころ、さらには債務上限問題の早期解決などが焦点になりそうです。もちろん北朝鮮問題もまだ重要な波乱要因になります。本日のドル円は108円70銭~109円70銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)