ドル円は北朝鮮リスクや利上げ観測が後退したことで109円を割り込み、108円63銭まで売られる。株式市場でも株価が大幅に下げ、米金利も低下したことで円を買う動きが強まった。ユーロドルではそれほどドル安が進まず、明日のECB理事会を待つ雰囲気が強まる。ドル円が下げた分、ユーロ円も129円台半ばまで円高が進む。

 株式市場は大幅に下落。北朝鮮がICBMの発射準備を行なっているとの韓国紙の報道や、ハリケーン「イルマ」の米本土接近を懸念した売りが拡大。ダウは234ドルの大幅安で取引を終える。債券相場は急騰。北朝鮮リスクと利上げ観測の後退に加え、株価が大幅に下げたことでリスクオフが進む。長期金利は一気に2.06%台まで低下し、昨年11月以来の低水準を記録。金は大幅に続伸し1344ドル台に。一時は1349ドルまで買われ、ほぼ1年ぶりの高値を記録。原油も反発し48ドル台を回復。


ドル/円108.63~ 109.38

ユーロ/ドル1.1887~ 1.1941

ユーロ/円  129.38~ 130.08

NYダウ  -234.25 → 21,753.31

GOLD  +14.10 → 1,344.50ドル 

WTI  +1.37 → 48.66  

米10年国債  -0.106 → 2.060%


本日の注目イベント

豪  豪4-6月期GDP
米  7月貿易収支
米  8月ISM非製造業景況指数
米  ベージュブック(地区連銀経済報告)
加  カナダ中銀政策金利発表
加  カナダ7月貿易収支


 ドル円は先週末、雇用統計は予想を下回ったものの、ISM製造業景況指数が高水準だったことから110円台半ばまで買われ、110円25銭前後で越週しました。ところが3日に北朝鮮が核実験を実施したことにより、再びリスクが拡大し、109円台までドルが売られ、昨日の連休明けのNY市場では株価の大幅安や長期金利の急低下から108円台半ばまでドル売りが進んでいます。

 再び108円台まで売られてきたドル円ですが、7月以来この水準は幾度となく試し、その都度押し戻されたレベルです。そのため「108円台前半から半ばは底堅い」といった相場観が醸成されつつありますが、今回はこれまでとはやや異なるかもしれません。米長期金利が2.06%台まで低下(価格は上昇)しており、市場は先行きのリスクに過敏になっていると見られます。またリスクが高まると上昇する「VIX指数」も昨日は一時14.06まで上昇し、先週末に比べて38.8%も上昇しました。この指数は「恐怖指数」とも呼ばれ、先行きが不透明になると上昇します。

 今月19-20日にはFOMCが開催され、ここでバランスシート縮小の概要が決められるのではないかと見られていますが、その先の今年3回目の利上げについては極めて不透明な状況になってきました。FRBのブレイナード理事は昨日の講演で、物価上昇圧力の弱さを示す指標が続いていることを受けて、追加利上げに動く前に基調インフレに注意を払う必要があるとの認識を示しました。

 「インフレ率が当局の目標達成にむけた軌道にあるとわれわれが確信できるまで、追加の引き締めには慎重になるべきだというのが私の見解だ」と述べています。(ブルームバーグ)FOMCメンバーの中でもダドリーNY連銀総裁など、利上げを支持するメンバーもいますが、意見は割れているようです。

 北朝鮮が再び挑発行為を仕掛けてくるリスクは高まっています。昨日韓国紙が、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の可能性に向けて準備しているとの報道を行ったことで、ドル円は109円台前半まで売られる場面がありましたが、今週末9日の建国記念日が最も可能性が高いと見られているようです。北朝鮮リスクが常に目前に迫っている中で、米国では再びハリケーン「イルマ」がカリブ海に接近しています。このハリケーンは5段階で最強の「カテゴリー5」の勢力があり、「ハービー」に次ぐ甚大な被害も想定されます。

 本日のドル円の焦点は何といっても、前回の円の高値である108円23銭と今年の円最高値である108円13銭を超える円高になるのかどうかです。108円台半ばから下方では個人投資家や機関投資家のヘッジはずしなどでドル買い意欲が活発だと見られていますが、果たして今日はどうでしょう。日本株もNYの株安を受け、かなり売られる可能性が高いと思われます。108円を割り込むようだと円高が加速することも考えられ、注意が必要です。これまで通り108円台が維持されるのか、今後の為替を占う意味でも重要な水準に差し掛かっています。レンジは107円70銭~109円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)