寿スピリッツ <2222> は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア展開強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。18年3月期第1四半期は大幅増収増益だった。通期も2桁増収増益・増配予想である。株価は上場来高値圏から一旦反落したが、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
 
■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開
 
 地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらに「ワールド サプライジング リゾート(WSR)宣言」を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。
 
 主要子会社は、山陰地区中心に「お菓子の壽城」「ラングドシャ」ブランドなどを展開する寿製菓、北海道中心に「ルタオ」ブランドを展開するケイシイシイ、首都圏中心に「東京ミルクチーズ工場」「ザ・メープルマニア」など洋菓子を展開するシュクレイ、九州中心に「赤い風船」ブランドを展開する九十九島グループ、関西中心に「遊月亭」ブランドを展開する但馬寿、販売子会社(東海3社、中国・九州4社、関西2社)である。なおシュクレイは、16年2月子会社化した洋菓子のフランセを17年4月吸収合併して生産直販型会社に移行した。グループ製造拠点から供給されていた主力商品を順次自社工場生産に切り替えている。
 
 17年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売7.2%(うちルタオ通販5.8%)、店舗販売(直営店舗、催事)43.3%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)46.9%、海外2.4%、その他0.1%である。駅・空港・高速道路SAなど交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。
 
 収益特性としてクリスマス・年末年始商戦などで下期の構成比が高くなる季節要因がある。特にフランセの主力商品「ミルフィユ」は年末・バレンタイン・ホワイトデーなどに売上が集中するイベント型商品である。利益配分については内部留保、業績水準ならびに配当性向等を総合的に勘案して利益還元に努めることを基本方針としている。
 
 17年7月には、シュクレイのスイーツブランド「ButterButler」がJR東日本発足30周年記念イベント「みんなが贈りたい、JR東日本おみやげグランプリ」で得票数1位を獲得し、総合グランプリを受賞した。
 
 また17年7月には、寿製菓が島根大学生物資源科学部の横田一成教授と共同研究している藍の抗炎症作用について、藍のポリフェノール成分が炎症を抑える効果を有することを発見し、生化学誌で発表した。
 
■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長
 
 重点施策として、プレミアム・スイーツブランドの創出と育成(地域・チャンネル特性にマッチした商品開発推進、主力商品リニューアルによるバージョンアップと価格改定、販路開拓やリアル店舗と通販の融合、新業態店の拡大)、インバウンド対策の強化(国内主要国際空港における免税売店等への販売強化、直営店舗での免税対応強化)、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの多ブランド展開推進や販路拡大、グループ各社による期間限定店舗展開の推進など)、海外展開、生産性向上による製造採算改善などを推進している。
 
 海外展開については、台湾は直接進出、韓国はフランチャイズ方式で進出する。またシュクレイが香港・ハンドメイド社と共同出資で香港に合弁会社ハニーシュクレイを設立し、香港で「東京ミルク工場」を店舗展開している。
 
 重点施策の17年3月期売上高は、国内主要国際空港でのインバウンドが16年3月期比2.4倍の19億60百万円、海外(台湾現地法人売上高+韓国・香港向けロイヤルティ含む国内出荷売上高)が41.5%増の7億78百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が95.9%増の92億75百万円と大幅伸長した。18年3月期目標値はインバウンド25億円、海外12億円、シュクレイ107億70百万円を掲げている。
 
■18年3月期1Q大幅増収増益
 
 今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比17.8%増の79億19百万円、営業利益が43.6%増の5億35百万円、経常利益が43.1%増の5億47百万円、純利益が3.0倍の5億53百万円だった。
 
 売上高、経常利益とも四半期ベースで過去最高を更新した。国際線ターミナルでの販売強化などのインバウンド対策や、首都圏WSR化展開などの重点施策の取り組みが奏功し、生産効率改善なども寄与した。特にシュクレイの収益拡大が牽引した。重点施策はインバウンドが2.0倍の7億66百万円、海外が79.3%増の2億62百万円、シュクレイが28.0%増の22億39百万円だった。
 
 売上総利益は18.3%増加し、売上総利益率は54.5%で0.2ポイント上昇した。販管費は15.4%増加したが、販管費比率は47.7%で1.0ポイント低下した。純利益は固定資産売却益75百万円の計上、および繰延税金資産追加計上による税金費用の減少も寄与した。
 
 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、ケイシイシイは売上高が21.3%増の24億30百万円だが売上構成変化で営業利益が9.8%減の1億40百万円、寿製菓・但馬寿は売上高が13.1%増の24億56百万円で営業利益が4.3%増の1億82百万円、シュクレイ(17年4月フランセを統合、前年同期も訴求修正)は売上高が28.0%増の22億38百万円で営業利益が1億03百万円(前年同期は28百万円の赤字)、販売子会社は売上高が11.6%増の12億83百万円で営業利益が58.7%増の85百万円、九十九島グループは売上高が2.6%増の7億66百万円で営業利益が77百万円の赤字(同41百万円の赤字)、その他(健康食品事業や台湾の菓子事業など)は売上高が52.4%増の93百万円で営業利益が11百万円の赤字(同12百万円の赤字)だった。
 
■18年3月期2桁増収増益・連続増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比10.6%増の360億円、営業利益が15.7%増の44億50百万円、経常利益が15.4%増の45億円、純利益が22.4%増の31億50百万円としている。配当予想は5円増配の年間30円(期末一括)としている。予想配当性向は29.6%となる。
 
 引き続き重点施策を中心とした取り組みを強化して2桁増収増益・連続増配予想である。売上総利益率は56.4%で0.4ポイント上昇、販管費比率は44.0%で0.2ポイント低下の計画である。
 
 セグメント別計画(連結調整前)は、ケイシイシイの売上高が109億円で営業利益が15億70百万円、寿製菓・但馬寿の売上高が100億20百万円で営業利益が10億80百万円、シュクレイの売上高が107億70百万円で営業利益が8億円、販売子会社の売上高が53億70百万円で営業利益が4億23百万円、九十九島グループの売上高が34億30百万円で営業利益が90百万円の赤字、その他の売上高が3億50百万円で営業利益が25百万円の赤字としている。
 
 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.0%、営業利益12.0%、経常利益12.2%、純利益17.6%と低水準の形だが、クリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデーなどで下期の構成比が高くなる季節要因があるためネガティブ要因とはならない。首都圏WSR化展開の積極推進などで好業績が期待され、中期成長シナリオにも変化はないだろう。
 
■株主優待は毎年3月末に実施
 
 株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上~500株未満所有株主に対して2000円相当の自社グループ製品、500株以上~1000株未満所有株主に対して4000円相当の自社グループ製品、1000株以上所有株主に対して4000円相当のグループ製品+3000円相当の直営店舗利用優待券(代替商品送付可)を贈呈する。
 
■株価は自律調整一巡、好業績評価して上値試す
 
 株価は8月1日の上場来高値4250円から利益確定売りで一旦反落したが、大きく下押すことなく3600円近辺で推移している。自律調整の範囲だろう。
 
 8月25日の終値3610円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS101円22銭で算出)は35~36倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は0.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS409円20銭で算出)は8.8倍近辺である。時価総額は約1123億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)