ドル円は109円台後半から110円台を回復したものの、米政権への不透明感から再び109円台半ばまで売られる。NYダウが大きく下げ、長期金利も低下したことで円買いが強まった。ユーロドルはECB議事録でユーロ高を懸念する議論があったことが明らかになり、1.1682まで下落。

 株式市場は3日ぶりに大幅下落。トランプ氏への批判の声が強まり、コーン国家経済会議委員長辞任の憶測も広がった。スペインでのテロも材料となり、ダウは274ドル下げ、他の主要指標も大幅に下落。債券相場は上昇。バルセロナで起きたテロ事件や、株価の大幅下落、トランプ氏の政権運営に対する懸念などを手掛かりに買われる。長期金利は2.18%台まで低下。ドルが下落したことで金は10ドル近く上昇。原油価格も小幅に反発。


新規失業保険申請件数          →  23.2万件
8月フィラデルフィア連銀景況指数   →  18.9
7月鉱工業生産              →  +0.2%
7月設備稼働率              →  76.7%
7月景気先行総合指数          →  0.3%

ドル/円109.45~ 110.27
ユーロ/ドル1.1682~ 1.1754
ユーロ/円  128.48~ 128.94
NYダウ  -274.14 → 21,750.73
GOLD  +9.50 → 1,292.40ドル 
WTI +0.31 → 47.04  
米10年国債  -0.037 → 2.185%

 本日の注目イベント

中   中国 7月新築住宅価格
独   独7月生産者物価指数
米   8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米   カプラン・ダラス連銀総裁講演
加   カナダ7月消費者物価指数

 昨日この欄で述べましたが、市場は「トランプリスク」に敏感になっているようです。昨日の東京時間では、109円65銭前後まで売られたドル円でしたが、そこから緩やかに切り返し、NYでは110円27銭までドル高が進んだものの、トランプ氏の政権運営が一段と不透明になったことで、ドル売りが進み、再び109円台半ばまでドル安が進行しています。

 スペインのバルセロナでテロが起き、13人が死亡しました。過激派組織イスラム国(IS)は犯行声明を出しています。ただ昨日のリスク回避の動きのメインは、トランプ大統領の言動が尾を引いたものでした。白人至上主義団体と反対派の衝突を巡って発せられたトランプ氏の「双方に非がある」との発言に対する批判の声が米軍部のトップからもあがり、異例の事態になっています。

 産業界首脳との戦略・政策評議会も主要メンバーが脱退したことで解散し、昨日は次期FRBの最有力候補であるコーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任するとの憶測も広がりました。ホワイトハウスは、委員長は同役職に留まる意向だと辞任を否定しましたが、今朝の報道にあるように、トランプ氏は正に「四面楚歌」の状況です。しかもこの状態は自らが種をまいており、批判に対しても強気な発言を繰り返しており、とどまる気配はありません。北朝鮮リスクよりも「トランプリスク」の方がより意識されるようになったとも言えます。

 ドル円は徐々に上値を切り下げながら、今朝は109円36銭辺りまで売られて来ました。今朝は再び108円台が意識される展開になりそうです。これまでも、買われすぎているといったコメントを書いてきましたが、NY株式市場が本格的な調整局面に入る可能性も出てきました。ダウは昨日274ドル下げ、約3カ月ぶりの下げ幅です。2万2000ドル台に乗せると売られる展開が続いているように見えます。

 ユーロドルの上値も徐々に重くなってきた印象です。昨日、先月19―20日に開催されたECBの議事録が公表されました。その中で、「これまでのユーロ上昇には、他国・地域と比較したユーロ圏の相対的ファンダメンタルズに変化が生じたことも反映された可能性が指摘された一方で、将来為替レートがオーバーシュートするリスクへの懸念も示された」と記されていました。この内容が伝わるとユーロドルは欧州時間に、1.1662まで売られました。

 それでも1.16台半ばから後半にかけては、かなり強いサポートゾーンになっていると見られ、再び1.17台前半まで反発しています。来週には米国ジャクソンホールで恒例のシンポジュームが開催され、ここでドラギECB総裁がどのような発言をするのか注目されています。もっとも、同総裁は先月「量的緩和縮小の議論は秋に始める」と述べており、ジャクソンホールでの講演が「無風」に終わることも考えられます。特段のコメントがない限り、1.16~1.1950程度で推移すると予想しています。

 今日は、NY株が大きく下げたことで、主体性のない日本株も「右へならえ」といったところでしょう。どこまで下げるのか注目ですが、300円以上下げるようだと、ドル円も108円台に突入する可能性があります。予想レンジは108円70銭~109円70銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)