欧州市場で112円台半ばまで値を戻したドル円だったが、ドラギECB総裁の記者会見をきっかけにドル安ユーロ高が進み、引っ張られる形でドル安円高も進む。一時は111円48銭までドル安が進み、ここ3日ほぼ同レベルで下げ止まる。ドラギ総裁は会見で「秋に議論する」と発言したことで市場は、秋以降に金融緩和縮小が開始されるとの思惑からドル売りユーロ買いのスタンスを強めた。ユーロドルは1.1659まで買われ、2015年8月以来のユーロ高水準を記録。

 株式市場は反落。トランプ大統領のロシア疑惑を巡る問題からダウは28ドル下落。一方ナスダックは4ポイント上昇し、3日連続で最高値を更新。債券相場は反発。モラー米特別検察官がトランプ大統領のビジネスにも捜査網を広げているとの報道を受け、安全資産である債券に資金が逃避した。金は3ドル上昇し、5日続伸。原油は反落し46ドル台に。


新規失業保険申請件数        →  23.3万件

7月フィラデルフィア連銀景況指数  →  19.5

6月景気先行指標総合指数      →  0.6%

ドル/円111.48~ 112.33
ユーロ/ドル1.1479~ 1.1659
ユーロ/円  128.78~ 130.26
NYダウ  -28.97 → 21,611.78
GOLD  +3.50 → 1245.50ドル 
WTI -0.33 → 46.79ドル  
米10年国債  -0.011 → 2.259%


本日の注目イベント

米     企業決算 → GE

加     カナダ5月消費者物価指数

加     カナダ5月小売売上高


 短期的な値動きを示す「1時間足」ではドル円が112円台に乗せ、雲抜けをしたことで欧州市場では112円42銭までドル高が進みましたが、その後のドラギECB総裁の発言でユーロが買われ、急速に「ユーロ高ドル安」が進んだことから、ドル円でもドル安が進行しました。ドル円は一時111円48銭まで売られ、これで3日間ほぼ同じレベルをその日の底値にする展開が続いています。

 ドル円は上値が重いものの、111円50銭前後では底堅い動きを見せてはいます。市場はどちらかといえば、この底堅い111円50銭前後の突破を試しているように見えます。一旦明確に割り込むと110円台も視野に入ってくることになります。

 それにしても、個人的には昨日のドル安ユーロ高はドラギ総裁の発言に反応し過ぎだったのではとの印象を持っています。総裁は「しっかりとした景気回復がついに訪れた。あとは賃金と物価がこれに追随するのを待つばかりだ」とした上で、「粘り強さと忍耐、重さが必要だ。まだそこまでに至っていないからだ」との発言もしています。また、「基調的なインフレ圧力が徐々に高まるためには、極めて高い度合いの金融緩和は依然必要だ」とも述べ、先行する市場にブレイキをかける配慮も行っています。

 それでも動くのが市場だと言ってしまえばその通りですが、ユーロドルは1.1659まで買われ、実に2015年8月以来のユーロ高水準を記録しました。因みに、目先の高値のメドは同じ8月につけた、1.1713ということになります。おそらくユーロの持ち高を増やしているヘッジファンドなどは、このレベルを狙ってくるのではないかと予想しています。

 ドル円もユーロ高に引っ張られ円高傾向ですが、111円台半ばが重要な値位置になっています。そもそもここには「日足」の120日線や200日線など、重要な移動平均線が多く集まっており、さらにその下には、薄いながらも「雲」が横たわっています。テクニカル的にも非常に重要な水準だと言えます。米長期金利がなかなか上がらず、昨日も、昨年の米大統領選におけるトランプ氏とロシアとのつながりを捜査しているモラー特別検察官が、捜査の対象を拡大し、トランプ氏や関係者のビジネスにかかわるさまざまな取引について調べていることが報道され、これが安全資産の債券に資金が向かった理由になっています。(ブルームバーグ)

 トランプ疑惑や、それに伴う長期金利の低下傾向がドルの上値を抑える一方、労働市場の拡大が続き、完全雇用に近い失業率がドルの下支えになっている状況が続いていますが、この状況をFRBがどのように判断するのかが今後の焦点になります。9月のFOMCまでに発表される経済データ次第ということになり、残り2ヶ月のファンダメンタルズの内容が注目されます。

 本日のドル円は111円20銭~112円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)