■「有事の金」?!
 
 先日、お好み焼き屋の前を通り過ぎたとき、お好み焼きに金箔がのった写真が店先に出ていました。また、筆者の記憶では、金箔入りのものを初めて知ったのは、お酒だったかと思いますが、よく考えたものだなと思います。これは金が我々の身近にある一例です。ただ、今回は金箔がかかったお好み焼きや金箔入りお酒が主人公ではありません。あくまでも金そのもの、私たちが生きているこの時代の金の一面を見てみたいと思います。
 
 よく「有事の金」という言葉を耳にします。金を保有する投資家からすれば当たり前のことなのかもしれません。利息などが付利されない反面、信用リスクも極めて小さい点から金は投資商品の最後の牙城、砦のように言われることもあります。
 
 しかし、今でもその役割は同じなのでしょうか。20世紀終わりに冷戦体制が崩壊して以降、国際的、地政学的リスクを織り込んで市場が進行することが多く、「危機があれば金価格が上昇する」という経験則は必ずしも言えなくなっているように思われます。
 
■多様化する金の役割
 
 上記から考えると、現代における金の役割を一言でいうならば、「多様化」ということでまとめられるでしょう。個人投資家のポートフォリオとしての金投資、機関投資家、ヘッジファンドのポートフォリオのひとつ、宝飾品としての金等々。
 
 確かに、金は資産の一つとして確かな存在であり続けています。しかし、それだけはなく、投資手段や宝飾品、また通貨のような役割、いろいろな性格を帯びながら私たちの日常、あるいは目に触れるところに現れてきているように思います。同時に、紙の有価証券とは異なった、古代から畏敬の念を持たれる金という側面も持ち続けています。古い側面と新しい側面が混在する、これも多様化の一面といってもいいでしょう。
 
 金本位制終結以降の金は、多様化しながら新しい役割を与えられてきたように感じます。そして、その中でも特に一般大衆の資産の防衛という面から注目される動きがあったかと思います。それは、「純金積み立て」、「金ETF」が広まったことでしょう。
 
■地上に降りた金、二つの商品の例
 
 詳細は触れませんが、日本で「純金積み立て」が始まったことは、金を一般大衆が少額から積み立てるという新しい概念を提起するものであり、まさに「地上に降りた金」を示す一面であったでしょう。
 
 また、金のETFは投資信託で間接的に金を保有するというまったく新しいコンセプトを提起しました。第5回でも取り上げたジョージ・ソロス氏も金ETFを大量に売買したりしています。個人投資家から機関投資家、ヘッジファンドまでが利用可能なのです。
 
 米国のGold Bullion Internationalは、オンラインで金を購入できるプラットフォームを開発し、購入から保管、売却などが簡単に行えるようになっています。今後は仮想通貨を取り入れたシステムなども視野に入ってくるかもしれません。金の役割の多様化と今後の展開は引き続き注目されるものではないかと感じます。(イメージ写真提供:123RF)