PALTEK <7587> (東2)はザイリンクス社のFPGAを主力とする半導体輸入商社である。17年12月期連結業績は円安も寄与して再増額の可能性がありそうだ。またIoT関連としても注目度を増している。7月5日にはソラコム主催のカンファレンスに産業用IoTパッケージを出展する。株価は04年来の高値圏から一旦反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。
 
■FPGAなどの半導体事業が主力
 
 ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体事業、および試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、新規分野としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システム)を展開している。海外は香港に拠点展開している。
 
 16年12月期売上構成比は半導体事業94.6%(FPGA36.0%、特定用途IC16.6%、汎用IC10.3%、アナログ7.6%、メモリ24.2%)、デザインサービス事業5.0%、その他0.4%である。
 
 主要仕入先は、FPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。用途別には産業機器向けを主力としてFA機器、通信機器、放送機器、医療機器、車載機器向けなどに展開し、センサ分野ソリューションも強化している。主要販売先はNEC <6701> 、京セラ <6971> 、オリンパス <7733> などである。
 
■M&A・アライアンスも活用して事業領域拡大
 
 M&A・アライアンスも活用して事業領域を拡大している。12年7月レート制御機能搭載「H.264コーデック装置」を開発しているエクスプローラを子会社化、14年6月子会社テクノロジー・イノベーションを設立してサイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けた。
 
 15年2月超高精度衛星測位システムのマゼランシステムズジャパンと総販売代理店契約を締結、15年5月米フリアーシステムズ社の赤外線カメラに関するセンサ製品の販売を開始、15年8月米IHS社と販売代理店契約を締結した。
 
 16年2月沖電気工業 <6703> とIoT市場向け無線通信製品の販売パートナー契約を締結、IoT市場向けゲートウェイのロバステル社(中国)と販売代理店契約を締結、16年4月米フリアーシステムズ社の高度道路交通システム(ITS)市場向け赤外線製品の販売を開始した。16年10月IoT通信プラットフォーム「SORACOM」を提供するソラコムの「SPS認定済デバイスパートナー」に認定された。産業用途のIoTプラットフォームにおいて連携を強化する。
 
 17年3月ソラコムおよびIoTクラウドプラットフォームのUPRと連携してインダストリアルIoTソリューションパッケージの販売を開始、企業向けビデオソリューションのHaivision社(カナダ)と販売代理店契約を締結、産業用コンピュータモジュール専業メーカーcongatec社(独)と販売代理店契約を締結した。
 
 なお7月5日には、ソラコム主催の「SORACOM Conference 2017 Discovery」に、グローバル展開が可能な産業用IoTパッケージを出展する。
 
■仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動する収益特性
 
 一部の主要仕入先に対して保有する仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動し、売上総利益の増減に影響を与える収益特性がある。ドル高・円安は売上総利益押し上げ要因、ドル安・円高は売上総利益押し下げ要因となる。為替影響は15年12月期が4億31百万円の売上総利益増加要因、16年12月期が5億30百万円の売上総利益減少要因となった。
 
■17年12月期第1四半期は円安も寄与して大幅増益
 
 今期(17年12月期)第1四半期(1月~3月)連結業績は、売上高が前年同期比18.0%減の77億34百万円、営業利益が同2.9倍の3億60百万円、経常利益が同3.5倍の4億39百万円、純利益が同4.3倍の2億97百万円だった。
 
 民生機器用メモリが大幅減少して減収だが、売上高は概ね計画水準だった。利益面では利益率の低い製品の売上が減少したことに加えて、円安による仕入値引きドル建て債権の評価額増加が寄与して大幅増益だった。
 
 事業別の売上高は、半導体事業が同19.5%減の71億93百万円(FPGAが同11.1%減の29億57百万円、特定用途ICが同3.6%減の14億61百万円、汎用ICが同31.0%減の7億73百万円、アナログが同33.6%増の7億75百万円、メモリが同48.7%減の12億26百万円)で、デザインサービスが同9.7%増の4億87百万円、その他が同8.1%増の53百万円だった。
 
 半導体事業の用途別売上高は産業機器向けが同4.6%減の144億85百万円、通信機器向けが同8.6%減の50億08百万円、民生機器向けが同6.9倍の66億23百万円、コンピュータ向けが同16.8%増の16億68百万円、その他が同5.8%減の39億59百万円だった。
 
 FPGAは通信機器、医療機器向けが減少したが、車載向けは増加した。特定用途ICはブロードバンド通信機器向けが減少したが、PC向けタッチパッド製品などは増加した。汎用ICはオフィス機器向けが増加した。アナログは産業機器向けが増加した。メモリは民生機器向けが大幅減少した。
 
 為替影響を含む売上総利益は同30.0%増加し、売上総利益率は14.9%で同5.5ポイント上昇した。為替影響額は1億02百万円の売上総利益増加要因(前年同期は1億26百万円の売上総利益減少要因)だった。為替影響除く実力値ベースの売上総利益は同3.7%増加し、売上総利益率は13.6%で同2.9ポイント上昇した。半導体事業で売上総利益率の低い案件の売上が減少した。販管費は同4.2%増加し、販管費比率は10.2%で同2.2ポイント上昇した。
 
 営業利益増減分析では、増益要因が売上総利益率上昇2億18百万円、仕入値引きドル建て債権評価額増加を含む為替影響2億28百万円、減益要因が売上高の減少1億81百万円、販管費増加31百万円としている。営業外では為替差益が増加(前期38百万円、今期1億円)した。
 
■17年12月期予想を増額修正、円安も寄与して大幅増益予想
 
 今期(17年12月期)第2四半期累計(1月~6月)および通期の連結業績予想(5月2日に増額修正)は、円安による仕入値引きドル建て債権の評価額増加が売上総利益押し上げ要因となり、営業外での為替差益増加も寄与する。第2四半期累計の想定為替レートは1ドル=111円21銭で、第3四半期以降については為替変動影響を考慮していない。足元のドル高・円安傾向を考慮すれば通期予想に再増額余地がありそうだ。
 
 修正後の第2四半期累計の連結業績予想は売上高が前年同期比3.4%減の167億円、営業利益が同6.2倍の6億円、経常利益が同5.5倍の6億40百万円、純利益が同8.1倍の4億20百万円としている。
 
 また修正後の通期連結業績予想は売上高が前期(16年12月期)比2.0%増の342億円、営業利益が同2.6倍の13億20百万円、経常利益が同12倍の12億80百万円、純利益が同76倍の8億40百万円としている。第2四半期累計の増額分を上乗せした形である。
 
 配当予想は据え置いて前期と同額の年間13円(期末一括)としている。予想配当性向は17.0%となる。配当予想にも増額余地がありそうだ。
 
■FPGAの市場拡大に注目
 
 中期的な収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業では高付加価値製品の取り扱い拡大、中核製品であるFPGAのさらなる拡販、第2の柱となる製品の売上拡大(センサー関連やIoT関連製品の拡充など)、医療・産業・通信・放送など成長分野への注力、デザインサービス事業では医療・放送・通信分野の受託設計・開発・ODM強化、自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業では病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する方針だ。
 
 中核製品のFPGAは、通信・産業・放送・医療・車載機器分野において、新規顧客獲得を含めて拡販を強化する。FPGAは論理回路構成を自由に書き換えられるため、世界的なトレンドとしてプロセッサーを内蔵したFPGAをメインチップとする傾向を強めている。そして今後は自動車の先進運転支援システム(ADAS)分野やIoT関連などを中心として市場拡大が予想されている。
 
 センサ関連に関しては、赤外線カメラのグローバルリーディングカンパニーである米フリアーシステムズ社の赤外線カメラモジュールを、産業機器(検査機器、防災機器、産業向け携帯情報端末)やセキュリティ用監視カメラ向けに拡販する方針だ。
 
 中期経営計画では数値目標に、20年12月期売上高400億円以上、営業利益率5%以上を掲げている。為替動向に注意が必要となるが、高度なデザイン力やソリューション力を武器として中期的に収益拡大基調が期待される。
 
■株主優待制度は12月末に実施、16年12月期末から導入
 
 株主優待制度は毎年12月31日現在100株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HPを参照)する。16年12月期末から実施した。
 
■株価は自律調整一巡して上値試す
 
 株価の動きを見ると6月9日に04年来の高値圏となる1126円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが自律調整の範囲だろう。
 
 7月3日の終値975円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS76円68銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS812円01銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約116億円である。
 
 週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線近辺から切り返す形だ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)