Jトラスト <8508> (東2)は、銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指して事業基盤強化に取り組んでいる。18年3月期(IFRS任意適用)は実質的に大幅増収増益予想である。株価は下値固め完了して基調転換の動きを強めている。0.6倍近辺の低PBRも見直して戻りを試す展開が期待される。
 
■国内外で金融事業を中心に業容拡大
 
 国内外でM&Aや債権承継などを積極活用して業容を拡大している。そして銀行業を中心とする持続的な利益拡大へのステージアップを目指し、国内外において事業基盤の強化に取り組み、特に韓国やインドネシアなどアジア地域での金融事業拡大を推進している。
 
 事業セグメントは、国内金融事業(信用保証、債権回収、クレジット・信販、その他の金融)、韓国金融事業(貯蓄銀行、債権回収、キャピタル)、東南アジア金融事業(銀行、債権回収、販売金融)、総合エンターテインメント事業(アミューズメント施設運営など)、不動産事業(戸建分譲中心の不動産売買、流動化不動産中心の収益物件仕入・販売)、投資事業、その他事業としている。
 17年3月期のセグメント別営業収益構成比は国内金融事業13%、韓国金融事業34%、東南アジア金融事業21%、総合エンターテインメント事業18%、不動産事業8%、投資事業3%、その他事業3%である。
 
 なお6月28日には、7月1日付で石坂匡身氏を顧問として招聘すると発表した。大蔵省(現財務省)出身で、みずほフィナンシャルグループやイオン等で要職を歴任している。
 
■韓国金融事業は総合金融サービス展開に向けた事業基盤整備が完了
 
 韓国金融事業はJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタル、TA資産管理を傘下においている。事業承継・貸付債権承継・M&A・売却などを経て、韓国において総合金融サービスを展開するうえでの事業基盤整備が完了したとしている。
 
■東南アジア金融事業と投資事業はインドネシアに積極展開
 
 東南アジアでは、金融事業はJトラスト銀行インドネシア、投資事業はJトラストアジアを中心に展開している。Jトラストアジアは販売金融事業のタイGL社に対して順次出資し、東南アジアにおける戦略的パートナーとしている。
 
 16年7月には、JトラストアジアがタイGL社と共同でインドネシアに設立した割賦販売金融事業のGLFI社(出資比率20%で持分法適用関連会社)が、所要の免許を取得して業務開始した。16年10月にはJトラストアジアが、モンゴル国金融規制委員会の許可が得られることを前提として、モンゴルのファイナンス事業会社であるCCI社の全株式を取得して子会社化すると発表している。
 
■総合エンターテインメント事業と不動産事業はアドアーズが展開
 
 総合エンターテインメント事業および不動産事業はアドアーズ <4712> が展開している。なおアドアーズは17年10月1日付で持株会社に移行して商号をKeyHolderに変更する。
 
■収益はM&A・のれん償却・事業再編・不良債権処理などで変動
 
 収益は、M&A・のれん償却・事業再編・不良債権処理などで大幅に変動する可能性がある。なお18年3月期から国際財務報告基準(IFRS)を任意適用する。利益配分については、将来の経営環境や業界動向を総合的に勘案しながら、積極的な利益還元を図ることを基本方針としている。
 
■17年3月期(日本基準)は赤字拡大
 
 前期(17年3月期)連結業績(日本基準)は営業収益が前々期(16年3月期)比12.7%増収だったが、営業利益が57億69百万円の赤字、経常利益が67億47百万円の赤字、純利益が98億76百万円の赤字だった。
 
 国内金融事業、韓国金融事業、東南アジア金融事業が増収で、国内金融事業と韓国金融事業が営業増益だったが、タイGL社の転換社債の新株予約権部分の評価損計上34億円、Jトラスト銀行の過去の負の遺産に対する一過性の貸倒引当金計上46億円、およびIFRS導入に向けた東南アジア金融事業の期ズレ解消(16年1月1日から17年3月31日までの15ヶ月業績を反映)の影響11億円などで、全体として営業赤字が拡大した。
 
 ただし営業損益(57億円の赤字)から評価性の引当等の影響を控除し、投資事業損益を差し引いた事業利益は同2.8倍の138億円となり、キャッシュフローに影響しない会計上の評価性部分を除くと事業利益は90億円増加したことになる。
 
 セグメント別営業利益(連結調整前)は、国内金融事業が同22.0%増の46億36百万円、韓国金融事業が同6.3倍の16億33百万円、東南アジア金融事業が86億42百万円の赤字(同78億98百万円の赤字)、総合エンターテインメント事業が2億19百万円の赤字(同4億75百万円の赤字)、不動産事業が同7.2%増の5億36百万円、投資事業が1億75百万円の赤字(同25億62百万円の黒字)、その他事業が73百万円の赤字(同1億93百万円の赤字)だった。
 
 国内金融事業は販管費圧縮が寄与した。韓国金融事業はアセット増加で純金利収入が増加した。東南アジア金融事業は一過性の貸倒引当金計上やIFRS導入に向けた期ズレ解消が影響した。ただし債権ポートフォリオ入れ替えが進展して純金利収入が増加し、不良債権比率も低位安定している。投資事業はタイGL社の転換社債の新株予約権部分の評価損計上が影響した。なおJトラストアジアが保有するGL社の株式(保有比率6.43%)については、17年3月時点では約16億円の含み益となった。
 
 自己資本比率は23.9%で同8.2ポイント低下した。ネットキャッシュ(=現預金および有価証券-有利子負債総額-銀行業ネットキャッシュ)は同61億円増加の595億円となった。配当は前々期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)とした。
 
 四半期別業績推移を見ると、営業収益は第1四半期205億07百万円、第2四半期196億28百万円、第3四半期251億34百万円、第4四半期197億62百万円、営業利益は11億89百万円、51億29百万円の赤字、73億02百万円、91億31百万円の赤字だった。
 
■18年3月期(IFRS任意適用)は実質大幅増収増益予想
 
 今期(18年3月期、IFRS任意適用)連結業績予想(5月12日公表)は、営業収益が894億90百万円、営業利益が100億58百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が81億37百万円としている。
 
 今期からIFRS任意適用のため前期(17年3月期)との比較はできないが、前期実績をIFRS表示(未監査)した場合の営業収益791億円、営業利益9億円、当期利益22億円の赤字に対して、営業収益は103億円増加、営業利益は91億円増加、当期利益は103億円増加となる。実質的に大幅増収増益予想である。
 
 セグメント別営業利益(連結調整前)の計画は、国内金融事業が46億円、韓国金融事業が32億円、東南アジア金融事業が24億円、総合エンターテインメント事業が3億円、不動産事業が4億円、投資事業が25億円、その他事業が0億円としている。
 
 国内金融事業は継続して安定的に利益を計上する。韓国金融事業はのれん影響がほぼ解消される。東南アジア金融事業は負の遺産に対する一過性の貸倒引当金が一巡する。投資事業はGL社の転換社債の新株予約権部分の評価損が一巡し、株価が上昇すれば利益寄与する。
 
 配当予想は前期と同額の年間12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。予想配当性向は15.2%となる。
 
■18年3月期ROE10.0%目標
 
 15年5月策定の中期経営計画では、中期ビジョンとして「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業を目指す」を掲げている。事業拡大が望めるアジア銀行業からの利益貢献を中心として、成長市場におけるIRR15%以上の投資案件をターゲットに3年間で500億円~1000億円の投資を目指す。また株式価値の最大化を経営の最重要課題の一つとして位置付け、株価が割安であると判断したときには機動的に自社株買いを実施する。
 
 国内金融事業では消費者金融事業を縮小し、不動産関連の信用保証事業および債権回収事業を拡大する。またM&Aを活用して新分野への進出を目指す。韓国金融事業ではグループ内の相互連携を通じて各事業を有機的に連携させ、債権残高積み増しと収益拡大に取り組む。東南アジア金融事業では、Jトラストインドネシア銀行の不良債権回収事業の収益強化と財務健全性の向上に取り組むとともに、さらなるM&Aを推進する方針だ。
 
 中期成長に向けて、M&Aや事業再編を活用したグループの事業基盤構築・強化に取り組んでいるため、M&A・事業再編および事業構造改革に伴う一時的利益・費用の計上で収益が大幅に変動する可能性もあるが、韓国事業の収益改善、東南アジアへの積極的な業容拡大、グループシナジーなどの効果で銀行業の収益が本格化し、中期的に収益拡大が期待される。なお16年5月には東証1部への申請に向けた検討を開始したと発表している。
 
■株価は下値固め完了して基調転換の動き、低PBRも見直し
 
 株価の動きを見ると、800円近辺での下値固めが完了して基調転換の動きを強めている。6月1日の年初来安値786円から切り返して6月28日には876円まで上伸した。出直り展開が期待される。
 
 6月28日の終値872円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円05銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1455円90銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約981億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。基調転換の動きだ。0.6倍近辺の低PBRも見直して戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)