イノベーション <3970> (東マ)は、ミッションに「法人営業の新しいスタイルを創造する」を掲げ、法人向けインターネットマーケティング支援事業(オンラインメディア事業およびセールスクラウド事業)を展開している。収益性の低いマーケティング代行事業(テレマーケティング事業およびリスティング広告代理店事業)から撤退して高収益構造に転換した。18年3月期も先行投資負担を吸収して増収増益予想である。なお7月1日付で株式2分割する。株価は戻り歩調だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
 
■法人向けインターネットマーケティング支援
 
 ミッションに「法人営業の新しいスタイルを創造する」を掲げ、法人向け(BtoB)に特化したインターネットマーケティング支援(成果報酬型の比較・資料請求サイトの運営、およびマーケティングオートメーションツールの開発・提供)を展開している。インターネットを活用して属人的で非効率な法人営業の無駄をなくし、法人営業の生産性向上に貢献するビジネスモデルだ。
 
 会社設立初期に展開していた法人向けテレマーケティング事業は15年3月、リスティング広告代理店事業は15年12月撤退し、現在は07年開始したオンラインメディア事業、および10年12月開始したセールスクラウド事業を主力としている。17年3月期の事業別売上高構成比はオンラインメディア事業76%、セールスクラウド事業24%である。
 
■法人営業の見込み顧客獲得からフォローアップまで一気通貫サービス提供
 
 オンラインメディア事業は、07年7月開始した法人向けIT製品比較・資料請求サイト「ITトレンド」の運営、および08年1月開始した人事・総務部門向けアウトソーシングサービス等比較・資料請求サイト「BIZトレンド」の運営を主力としている。日経BP社が運営する各媒体の提供も行っている。
 
 サイトを閲覧するユーザーは無料で、法人向けIT製品・サービスの比較・一括問い合わせ・資料請求を行うことができる。検索エンジン経由でサイトに来訪した購買意欲の高い見込み顧客を、成果報酬課金型でクライアント(サイトへの出稿企業)に提供する収益モデルで、広告課金型の既存のメディア企業の収益モデルと一線を画している。
 
 セールスクラウド事業は、10年12月提供開始したマーケティングオートメーションツール「ListFinder(リストファインダー)」を主力としている。
 
 リストファインダーは購入意欲の高い見込み客の発見を支援するマーケティングオートメーションツールである。クラウドサービス型で提供している。中堅・中小企業の法人営業に最適な機能に絞り込み、導入・運用コストを競合他社に比べて数分の1で提供することで差別化している。BtoB中小企業向けマーケティングオートメーションツールの導入数シェアNO.1(富士キメラ総研調べ)である。
 
 オンラインメディア事業において法人営業の見込み顧客獲得(リードジェネレーション)を支援し、セールスクラウド事業において見込み顧客育成(リードナーチャリング)から顧客獲得後のフォローアップまで支援するという、一気通貫のサービスを提供するビジネスモデルだ。そしてセールスクラウド事業はストック型の収益モデルである。
 
 17年1月には、マーケティングオートメーションツールベンダーとしては国内で初めて、ISMSクラウドセキュリティ認証を取得した。17年3月には経済産業省「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(IT導入補助金)において、リストファインダーがIT導入補助金の対象サービスに認定された。
 
■中期成長に向けて新技術・新サービスに積極投資
 
 中期成長戦略としては、既存の事業基盤を一層発展させるとともに、新技術・新サービスにも積極投資して「法人営業の新たなスタイルの創造」の実現を目指すとしている。オンラインメディア事業におけるサービスカテゴリー拡大、セールスクラウド事業における機能開発を加速させる方針だ。
 
 オンラインメディア事業では、現在の主力であるITトレンドおよびBIZトレンドのプラットフォームを活かしながら、日経BP社との連携も強化して、新たな領域へサービスカテゴリーを拡大する。
 
 17年4月にはITトレンドで、経済産業省「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(IT導入補助金)の対象IT製品を比較・資料請求できる特設サイト「IT導入補助金ガイド」をオープンした。
 
 セールスクラウド事業では、リストファインダーの機能・データ活用を可能にするAPI(Application Program Interface=アプリケーション・プログラム・インターフェイス)の開発を促進し、他ツールとの連携を強化する。また領域ごとに最適な機能の開発を加速して一層の販路拡大を図る。
 
 17年1月にはリストファインダーが、アベルザが提供する製造業向け工業用間接資材カタログポータル「Cluez(クルーズ)」の利用企業向けマーケティングツールとして採用された。17年2月にはリストファインダーが、Sansanが提供する法人向け名刺管理サービス「Sansan」とAPIによるツール間データ連携を開始した。
 
 17年4月には法人営業の新しいスタイルを創造することを目的として、新技術の活用と創出に取り組む組織「Sales Tech Lab」の設立を発表した。社外の企業・専門家・研究機関とも連携したオープンな組織として運営する。
 
■17年3月期は計画超の大幅営業増益
 
 前期(17年3月期)の非連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比3.6%減の12億57百万円、営業利益が1億72百万円(前々期は3百万円)、経常利益が1億95百万円(同4百万円)、純利益が1億21百万円(同13百万円)だった。
 
 マーケティング代行事業(16年3月期セグメント売上高3億88百万円)から撤退した影響で減収だが、オンラインメディア事業、セールスクラウド事業とも好調に推移して実質37.5%増収だった。また計画に対して売上高は93百万円、営業利益は32百万円、経常利益は35百万円上回り、計画超の大幅営業増益だった。先行投資による販管費増加などを吸収して各利益は過去最高だった。
 
 オンラインメディア事業は、売上高が同43.8%増の9億58百万円で営業利益(連結調整前)が同86.4%増の4億58百万円だった。サイト来訪者数(述べ人数)は5025万人で同71.8%増加した。
 
 セールスクラウド事業は、売上高が同20.2%増の2億99百万円で営業利益が同99.0%増の57百万円だった。リストファインダーのアカウント数は613件で同29.3%増加した。17年1月業務提携したアペルザ社経由も寄与した。
 
 売上総利益は同39.0%増加し、売上総利益率は59.4%で同18.2ポイント上昇した。収益性の低いマーケティング代行事業から撤退して高収益構造に転換した形だ。販管費は同7.7%増加し、販管費比率は45.7%で同4.8ポイント上昇した。なお特別損失に減損損失16百万円を計上した。
 
 またROEは23.0%で同14.6ポイント上昇、自己資本比率は67.1%で同29.8ポイント上昇した。配当は無配を継続した。
 
■18年3月期も先行投資負担を吸収して増収増益予想
 
 今期(18年3月期)非連結業績予想(5月15日公表)は売上高が前期(17年3月期)比17.3%増の14億75百万円、営業利益が同14.5%増の1億97百万円、経常利益が同1.5%増の1億98百万円、そして純利益が同7.4%増の1億30百万円としている。配当は無配を継続する。
 
 16年4月~19年3月を成長加速期と位置付けて、経営基盤強化に向けた積極的な先行投資を継続するため人件費や広告宣伝費などが増加するが、オンラインメディア事業、セールスクラウド事業とも好調に推移し、先行投資負担を吸収して増収増益予想である。
 
 セグメント別の計画は、オンラインメディア事業の売上高が同18.7%増の11億37百万円で営業利益(連結調整前)が同1.6%増の4億63百万円、セールスクラウド事業の売上高が同13.0%増の3億38百万円で営業利益が同2.6倍の1億47百万円としている。
 
 また日経BP社などパートナー企業との積極的な連携で、既存事業の拡大や新領域への参入を推進する方針だ。好業績が期待され、中期成長期待も高まる。
 
■株価は戻り歩調、好業績を評価して上値試す
 
 株価の動き(17年7月1日付で株式2分割、6月27日権利落ちのため、遡及修正後の数値で表示)を見ると、4月の上場来安値2355円から切り返して6月には3000円台を回復した。戻り歩調だ。
 
 6月27日の終値2900円を指標面(EPSとBPSは17年7月1日付株式2分割後)で見ると、今期予想PER(会社予想EPS68円06銭で算出)は43倍近辺、実績PBR(前期実績BPS430円50銭で算出)は6.7倍近辺である。時価総額は約56億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26移動平均線を突破した。基調転換を確認した形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)