ドル円は東京時間で112円台に乗せたがその後は上値が重く、111円台半ばまで反落した。しかしNYでは長期金利の上昇を材料に112円46銭まで上昇し、約1カ月半ぶりのドル高水準をつける。ユーロドルは急伸。ドラギ総裁の発言から、金融緩和縮小が近いとの連想がユーロ買いにつながった。ユーロドル1.1350まで上昇し、約10カ月ぶりの高値を記録し、対円でも127円台半ばまでユーロ高が進行。

 株式市場は揃って下落。イエレン議長が講演で「一部資産が割高」と発言したことがきっかけとなり、ハイテク株が下げを主導。ダウは98ドル下げ2万1300ドル台に。債券相場も急落。イエレン発言から売り物が増え、長期金利は約7bp上昇し、2週間ぶりに2.2%台に乗せる。金はほぼ変わらず。原油価格は3日続伸し、44ドル台を回復。


4月ケース・シラ-住宅価格指数  → +5.67%

6月消費者信頼感指数       → 118.9

6月リッチモンド連銀製造業指数  →  7

ドル/円111.83~ 112.46

ユーロ/ドル1.1269~ 1.1350

ユーロ/円126.12~ 127.48

NYダウ  -98.89 → 21,310.66

GOLD  +0.50 →1,246.90ドル 

WTI  +0.86 → 44.24ドル  

米10年国債  +0.068 → 2.205%


本日の注目イベント

欧   ユーロ圏5月マネーサプライ
米   5月中古住宅販売成約指数
米   ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演(キャンベラ)

 ロンドンで行われたイエレンFRB議長の講演と、ポルトガルのシントラで行われたドラギECB総裁の発言内容に、金融、証券、債券市場は大きく反応しました。特に為替市場では、ユーロが最強通貨になり、ついで米ドル、そして円が最も弱い通貨となった1日でした。

 イエレン議長は講演で「金利は非常にゆっくりと引き上げるのが目標達で適切になるとの考えは、これまでに極めて明確にしている」と述べ、今後の利上げの基本方針は変わらないとの認識を示しました。ただ同時に、一部の資産については「高くみえるが、確信はない」とも語り、これが株価の重石となり、主要株価指数を沈めたようです。また基本的な利上げスタンスの維持が債券売りにつながり、長期金金利を今月14日以来となる2.2%台まで押し上げ、これがドル円を112円台半ばまで一気に押し上げる原動力になりました。

 ドラギ総裁はポルトガルで開いた年次総会で「今は全ての兆候がユーロ圏の回復の強さが増し、裾野が広がっていることを示している。デフレ圧力はリフレの力に置き換わった」(ブルームバーグ)と述べ、金融緩和縮小は近いことを示唆した格好となりました。この結果、ユーロドルではドル売りユーロ買いが大きく進み、ユーロドルは2016年8月23日以来となる1.1350まで急騰し、対円でも127円台半ばまでユーロ高が進みました。

 ユーロ対して売られたドルでしたが、そのドルに対しても円は大きく売られ、市場は「リスクオン」というよりも、低金利の円を改めて売り直したような印象です。それにしても今月初めには、ユーロ圏は依然として政策面での支援が必要だとの認識を示したばかりのドラギ総裁でしたが、ここでユーロショートを作り維持していた投資家はまたも、「ドラギ・マジック」にしてやられたことになります。

 ドイツ連銀のバイトマン総裁などは早期の金融政策の変更を訴えていましたが、ECB理事会内でのこうした意見に押されたと観ることもできます。これで年内に金融緩和の縮小に踏み切れば、これで残るは日銀のみということになり、中央銀行の「金融政策の違い」が改めて注目されれば、円が大きく売られる状況も想定できなくはありません。

 ドル円は112円46銭まで上昇したことで、これまでの110-112円のレンジが上抜けした可能性が高くなりました。昨日この欄でも指摘した112円10-15銭レジスタンスゾーンも抜けましたが、注意したいのは、このまま「120日線」を上回った水準を維持できるかどうかという点です。市場関係者の「相場観」はまだそれほどドル高には傾いていません。そのため、この水準から上値では輸出企業などは確実に予約を入れてくることが想定されます。

 テクニカルでは113円台を超える辺りまでは、これと言ってレジスタンスはありません。昨日のNY市場での動きがドル高トレンドへの「始まりの始まり」だったのかどうか、今後一(ひと)月ほどかければ確認できるかと思います。因みに、個人的には現時点ではまだその段階ではないと考えています。

 本日はNYのドルの高値からは若干下げていますが、東京ではどこまでドルが買われるかが焦点です。112円40-50銭辺りでは相当なドル売りが控えていると思われますが、それをこなして上昇できるかどうかです。その水準を超えるとしても、東京時間ではやや無理な気もしますが、海外市場では全く別物です。予想レンジは111円60銭~112円60銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)