ソラスト <6197> は医療事務・介護・保育関連サービスを展開し、地域の女性人材を活用するため女性が働きやすい職場づくりやICTの積極活用を推進している。6月25日放送のNHK総合テレビ「NHKスペシャル」でAIを活用した新入社員定着率向上の取り組みが紹介された。18年3月期増収増益・増配予想である。5月介護サービス利用状況も好調を維持している。通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は調整一巡して3月の上場来高値を試す展開が期待される。
 
■医療事務受託を主力に介護・保育サービスも展開
 
 旧・日本医療事務センターが、現ソラストに社名変更して2016年6月東証1部市場に再上場した。医療事務・介護サービスのパイオニアである。なお17年5月に東邦ホールディンス <8129> と業務提携した。
 
 医療関連受託事業(医療事務請負・派遣)を主力として、介護事業(訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅など)・保育事業(認可保育所運営)、その他事業(教育サービスなど)を展開している。17年3月期セグメント別売上構成比は医療関連受託事業78%、介護・保育事業21%、その他事業1%である。
 医療関連受託事業では請負が9割強を占め、大病院との長期取引を中心に医療機関取引先は1500以上に達している。介護事業は東名阪地域に展開している。17年3月期末の介護事業所数は246拠点(訪問介護63、デイサービス58、居宅介護支援58、グループホーム24、有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅10、その他33)で、16年3月期末比27増加した。保育園は13施設(東京都認証保育所12、千葉県認可保育所1)である。
 
 17年3月期末連結ベース従業員数2万3747人で女性比率が約90%である。地域の女性人材を活用するため、女性が働きやすい職場づくりとともに、ICTの積極活用も推進している。
 
■離職率低下による生産性向上やM&A活用で中期成長目指す
 
 中期経営ビジョンでは基本戦略に、ICTによるサービスモデル高度化、採用・キャリア支援モデルの強化、M&Aの積極活用を掲げている。そして経営目標値には、21年3月期売上高1000億円(セグメント別成長率は医療関連受託事業3%、介護事業30%、保育事業20%)、営業利益70億円(営業利益率は医療関連受託事業15%、介護事業10%、保育事業15%)を掲げている。
 
 医療事務の市場規模は約6800億円(うち約5000億円が潜在市場)と推定され市場開拓余地は大きい。医療関連受託事業における利益率向上に向けた戦略としては、原価の大部分を占める人件費に関して、無駄の削減・効率性の向上、および定着率・モチベーションの向上を掲げ、具体的戦略として離職率の飛躍的な低下を目指している。
 
 社員退職に伴う配置転換や新入社員の教育などに係る無駄を減らすことで現場の生産性を改善し、全社的なコスト競争力の向上、そして売上成長に繋げる戦略だ。ICTも積極活用して、コミュニケーションの向上、業務・職場環境の改善、待遇改善などを通じて、離職率を現状の25%程度から大幅に低下させる方針だ。
 
 16年11月には沖電気工業 <6703> と医療事務関連分野で業務提携した。ICTを活用して病院における患者サービスの向上や受付業務の効率化を推進することを目指し、最初の取り組みとして患者情報自動登録システムを共同開発する。その他の業務についてもICTの順次導入を推進する方針だ。
 
 介護事業はM&Aを積極活用して中期成長を目指している。17年3月期には、神奈川県で通所介護事業を展開する住センターなど、事業譲受や子会社化などで11件のM&Aを実行した。18年3月期売上高への貢献は15億円の見込みである。
 
 17年3月インフォコム <4348> と協働で、通所介護における業務効率化と顧客満足度向上を目的として介護記録システム「Daily」を構築し、17年6月から通所介護の全事業所に導入すると発表した。一部の事業所に試験導入して効果を確認したため全事業所に順次導入し、17年10月までに40事業所への導入を完了する予定としている。
 
 17年3月には人工知能を活用して新入社員の離職を防ぐ取り組みを開始すると発表した。データ解析事業を手掛けるFRONTEO <2158> が独自開発した人工知能エンジン「KIBIT」を用いて、新入社員の面談記録から不安や不満を抱える人を早期に発見してフォローを行い、社員の離職防止や定着率向上に向けた取り組みを推進する。
 
 また女性が働きやすい環境づくりの一環として17年4月から、育児・介護等を理由とする短時間勤務制度・時差勤務制度の利用期間上限を撤廃し、仕事と家庭の両立支援策を大幅に拡充した。育児・介護以外でも、病気療養や家事支援などが必要になる場合においても同制度の利用を可能にした。
 
 17年5月には医療機関に勤務する医療事務職の社員を対象にインセンティブ・ポイント制度を導入した。一定の付与基準に応じて社員へポイントを付与し、貯まったポイントに応じて商品と交換できる福利厚生制度である。
 
■17年3月期2桁営業増益
 
 前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比3.7%増の654億13百万円、営業利益が同10.4%増の36億54百万円、経常利益が同9.6%増の36億26百万円、純利益が同24.1%増の24億73百万円だった。医療関連受託事業、介護・保育事業とも好調に推移し、利益率改善も寄与して2桁営業増益だった。
 
 売上総利益は同5.3%増加し、売上総利益率は17.1%で同0.3ポイント上昇した。販管費は同3.0%増加したが、販管費比率は11.5%で同0.1ポイント低下した。特別損失では前々期計上した減損損失1億42百万円が一巡した。ROEは26.4%で同3.0ポイント上昇、自己資本比率は43.1%で同5.5ポイント上昇した。
 
 配当(5月9日に期末2円増額)は、年間43円(第2四半期末20円、期末23円)とした。16年1月26日付株式300分割を考慮して換算した16年3月期の年間35円39銭に対して7円61銭増配だった。配当性向は50.3%だった。
 
 医療関連受託事業は売上高が同2.7%増の508億17百万円で営業利益(連結調整前)が同3.8%増の49億50百万円だった。医療機関からの新規契約獲得、既存顧客との取引拡大、15年9月実施の労働者派遣法改正に伴う派遣売上の増加、業務全般の生産性向上などが寄与した。離職率は約22%で同2ポイント低下した。営業利益率は第1四半期8.8%、第2四半期9.4%、第3四半期9.9%、第4四半期10.8%と上昇基調である。第4四半期の10.8%は四半期ベースで過去最高だった。
 
 介護・保育事業は売上高が同8.1%増の138億62百万円となり、営業利益が同32.8%増の8億84百万円だった。介護事業はM&Aによる事業所数増加が寄与した。既存事業所でも、在宅系サービスで利用者数が増加し、施設系サービスは高水準の入居率を維持した。保育事業では園児数の増加に自治体からの補助金収入も寄与した。増収効果や介護事業における生産性向上効果で、M&Aに係る一時費用を吸収して大幅増益だった。営業利益率は6.4%で同1.2ポイント上昇した。
 
 その他事業は、売上高が同2.5%減の7億33百万円で、営業利益が2億26百万円の赤字(前々期は2億95百万円の赤字)だった。
 
 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期160億43百万円、第2四半期162億03百万円、第3四半期164億45百万円、第4四半期167億22百万円、営業利益は8億27百万円、9億32百万円、9億32百万円、9億63百万円だった。
 
■18年3月期も増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月9日公表)は売上高が前期(17年3月期)比7.0%増の700億03百万円、営業利益が同10.3%増の40億32百万円、経常利益が同10.7%増の40億15百万円、純利益が同6.7%増の26億40百万円としている。5期連続増収増益予想である。
 
 医療関連受託事業では離職率低下による生産性向上と営業利益率改善が進展し、介護事業では前期のM&Aも寄与して利用者数が増加基調である。M&A関連費用や社員待遇改善に伴う人材投資費用の増加を吸収する。
 
 配当予想は同1円増配の年間44円(第2四半期末21円、期末23円)としている。予想配当性向は50.6%となる。配当政策は、安定した配当を継続することを基本方針として、配当性向は50%を目安としている。
 
 セグメント別計画は、医療関連受託事業の売上高が同2.3%増の520億円で営業利益(連結調整前)が同13.0%増の55億95百万円、介護・保育事業の売上高が同24.7%増の172億88百万円で営業利益が同14.7%増の10億14百万円、その他事業の売上高が同2.5%減の7億15百万円で営業利益が3億84百万円の赤字(前期は2億26百万円の赤字)としている。
 
 月次情報(速報値)の17年5月介護サービス利用状況を見ると、訪問介護は前年比24.8%増、デイサービスは同18.0%増で、いずれも2ケタ増と好調に推移している。施設系サービスの月末入居率はグループホーム97.9%、有料老人ホーム99.1%、サービス付高齢者向け住宅92.7%と高水準を維持している。介護サービス拠点数は合計260拠点で17年3月末比14拠点増加した。
 
 中期成長シナリオに変化はなく、今期(18年3月期)も好業績が期待される。上振れ余地もありそうだ。
 
■株価は調整一巡して3月高値試す
 
 株価の動きを見ると、5月の主要株主の異動に伴う需給悪化懸念も影響する形となったが、6月14日の直近安値1401円から切り返しの動きを強めている。目先的な売りが一巡したようだ。
 
 6月23日の終値1480円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS86円90銭で算出)は17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は3.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS337円64銭で算出)は4.4倍近辺である。時価総額は約450億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。調整一巡して3月の上場来高値1642円を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)