イワキポンプ <6237> (東2)はケミカルポンプの大手メーカーである。豊富な製品ラインナップやグローバル体制などを強みとしている。18年3月期は為替差益を見込まず最終減益予想だが、プロダクトミックス改善などで営業利益は2桁増益予想としている。保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。医療機器分野なども開拓して中期的に収益拡大基調だろう。株価は4月の直近安値圏から下値を切り上げている。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。
 
■ケミカルポンプの大手メーカー
 
 水処理装置、半導体・液晶製造装置、医療機器などの薬液移送に使用されるケミカルポンプの大手メーカーである。またケミカルポンプ周りの各種センサおよびコントローラ等の制御機器を組み合わせた水質制御関連など各種システム製品も展開している。

 17年3月期品目別売上高構成比はマグネットポンプ35%、定量ポンプ18%、空気駆動ポンプ8%、回転容積ポンプ9%、エアーポンプ6%、システム製品4%、仕入商品9%、その他11%である。
 
 市場別売上高構成比は水処理24%、半導体・液晶14%、医療機器15%、化学9%、表面処理装置8%、新エネルギー3%、その他27%である。水処理が堅調に推移し、半導体・液晶はウェハ洗浄装置やレジスト塗布装置関連が回復している。また医療機器が大幅伸長している。
 
 地域別売上高構成比は日本63%、海外合計37%(米国13%、欧州9%、アジア8%、中国3%、その他4%)である。
 
 収益面では設備投資の影響を受けやすい。配当政策については、安定的に継続実施し、業績に応じた適正な成果配分を行うことを基本方針として、連結配当性向30%以上を目標としている。
 
■豊富な製品ラインナップやグローバル体制が強み
 
 マグネットポンプ、定量ポンプ、空気駆動ポンプ、回転容積ポンプ、エアーポンプなど、豊富な製品ラインナップで顧客ニーズに対応している。ポンプを中心に「流体を制御する」技術で、ワンストップソリューションを提供できることが強みだ。海外は16ヶ国に20社のグループ会社を展開し、多種多様な顧客への強力なサポートを可能とするグローバル生産・販売・メンテナンス・サポート体制を構築している。
 
 生産は多品種少量生産を強みしている。国内2工場(埼玉県・埼玉工場、福島県・三春工場)で役割分担し、海外5拠点(米国、ドイツ、中国、台湾、豪州)はノックダウン生産方式(日本で生産した主要部品を海外で組み立てる生産方式)で短納期・在庫効率化を実現している。16年12月には中国における販売・調達拠点として現地法人を設立した。また化学センサ搭載測定装置の専業メーカーであるテクノエコー(埼玉県)を子会社化した。
 
 16年11月に新技術センター建設を発表した。現在の技術センター(埼玉県)の隣接地に新技術センターを建設して開発拠点を再構築する。17年3月着工、18年5月竣工・運用開始予定で、建設費用は約23億50百万円である。
 
■医療機器市場などを積極開拓
 
 中期成長に向けて医療機器市場、新エネルギー市場、水処理市場を重点分野と位置付けて積極開拓している。医療機器市場では人工透析関連、血液分析関連、内視鏡洗浄関連などの需要が増加基調である。新エネルギー市場では、家庭用燃料電池関連が落ち込んだが、今後はリチウムイオン2次電池や電力用大型蓄電池の電解液注入関連が期待される。また水処理市場では、17年9月発効予定の船舶バラスト水規制管理条約関連の需要も期待される。
 
■17年3月期は経常利益と純利益が計画超の増益
 
 前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比1.3%増の251億46百万円、営業利益が同4.4%減の14億65百万円、経常利益が同7.3%増の21億36百万円、そして純利益が同10.7%増の16億90百万円だった。
 
 プロダクトミックス悪化や円高影響などで営業減益だが、アジア地域の半導体・液晶関連や表面処理装置関連が好調に推移して持分法投資利益が増加し、為替差益の計上も寄与して経常利益と純利益は計画超の増益だった。
 
 売上総利益は同2.8%減少し、売上総利益率は32.5%で同1.4ポイント低下した。販管費は同2.5%減少し、販管費比率は26.7%で同1.0ポイント低下した。営業外では持分法投資利益が増加(前々期4億10百万円、前期4億88百万円)し、為替差損益も改善(前々期差損70百万円、前期差益1億18百万円)した。
 
 ROEは10.3%で同0.3ポイント上昇した。自己資本比率は63.7%で同0.7ポイント上昇した。配当は年間68円(第2四半期末30円、期末38円)とした。前々期比10円80銭減配で配当性向は30.1%だった。
 
 市場(需要先)別売上高は水処理が同0.3%増の60億53百万円、半導体・液晶が同4.6%増の34億23百万円、医療機器が同11.5%増の39億08百万円、化学が同9.2%減の23億41百万円、表面処理装置が同0.4%増の20億20百万円、新エネルギーが同32.6%減の6億50百万円、その他が同4.4%増の67億48百万円だった。
 
 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期59億52百万円、第2四半期64億42百万円、第3四半期63億26百万円、第4四半期64億26百万円、営業利益は3億07百万円、4億64百万円、4億02百万円、2億92百万円だった。
 
■18年3月期は2桁営業増益予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期期)比5.5%増の265億17百万円、営業利益が同14.1%増の16億72百万円、経常利益が同7.8%減の19億69百万円、純利益が同14.2%減の14億50百万円としている。配当予想は同9円減配の年間59円(第2四半期末26円、期末33円)としている。予想配当性向は30.4%となる。
 
 前期寄与した為替差益を見込まず、また持分法投資利益も保守的な想定として、経常利益と純利益は減益予想である。ただし営業利益段階では円高やプロダクトミックス悪化の影響が一巡して2桁増益予想である。想定為替レートは1ドル=113円、1ユーロ=120円である。
 
 営業利益増減(2億07百万円増益)分析の想定は、増益要因が売上増減・原価率変動など7億11百万円、売上総利益の為替影響73百万円、減益要因が販管費の為替影響35百万円、販管費・R&D経費増加等5億42百万円としている。会社予想は保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。
 
■10年ビジョンで25年3月期売上高400億円目指す
 
 10年ビジョンでは定量目標として、25年3月期売上高400億円(国内200億円、海外200億円)を目指している。
 
 そして第1期中期経営計画(17年3月期~19年3月期)は、10年ビジョン達成に向けた種蒔期と位置付け、目標数値を19年3月期売上高285億19百万円、売上総利益95億18百万円(売上総利益率33.4%)、営業利益25億61百万円(営業利益率9.0%)、経常利益30億14百万円(経常利益率10.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益21億05百万円(純利益率7.4%)としている。
 
 基本方針には、強化市場(医療機器市場、新エネルギー市場、水処理市場)への経営資源の優先投入、顧客対応力を強化したソリューションビジネスの展開、新規事業のビジネスモデル構築、海外戦略地域の市場動向に対応した販売戦略の策定・実行および価格競争力と顧客対応力の向上実現を掲げている。
 
 収益基盤の再構築に向けた戦略としては、オンリーワン製品開発や開発スピードアップなど開発力の強化、コンサルティング業務の強化やメンテナンスサービスの一層充実などソリューションビジネスの強化、海外調達・生産の拡大や海外マーケティング関連部門の体制強化など海外事業の拡大、人材育成に向けた教育システムの構築を推進する。
 
■株価は下値切り上げて調整一巡感、戻り試す
 
 株価の動きを見ると4月の直近安値2000円から徐々に下値を切り上げている。調整が一巡したようだ。
 
 6月22日の終値2298円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS193円82銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間59円で算出)は2.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2233円84銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約172億円である。
 
 週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなり、13週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)