中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は、金融リスクの防止を目的に、銀行に対してデレバレッジを指示した。銀行間市場での資金供給は縮小し、金利は大きく上昇したという。大和総研の経済調査部主席研究員、齋藤尚登氏は6月21日、『中国:金利上昇の景気引き締め効果に要注意』と題したレポート(全10ページ)を発表し、中国の政策運営について考察した。レポートの要旨は以下の通り。

◆市場金利が大きく上昇している。2017年春以降、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は、金融リスクの防止を目的に銀行に対してデレバレッジを指示し、2017年7月20日までに2017年上半期の、2018年1月20日までに2017年年間の進捗状況をCBRCに報告することを求めた。こうした中で銀行間市場での資金供給が縮小し、金利は大きく上昇した。最上級の格付けを有する企業の1年物債券利回りは、4月中旬以降、1年物貸出基準金利の4.35%を上回る状態が続いており、発行体の起債インセンティブは大きく損なわれている。そもそも企業債の発行は、大型国有企業が中心であり、こうした企業の銀行貸出への依存が一段と高まれば、そのあおりを受けて民間中小企業の資金調達が一段と困難になりかねない。
 
◆4月下旬に開催された中央政治局会議では、金融リスクの防止が当面の重点であることを確認した。同会議では、より多くの資金が、非実体経済(金融投資)ではなく、実体経済(実物投資)に向かうようにする方針が示されたが、金融リスクの防止を目的としたデレバレッジの影響によって、実体経済に対する金融面のサポートはむしろ低下しているのが現状である。今後、景気減速が鮮明化していけば、政策運営の重点は「金融リスクの防止」から「経済成長の安定化」に軸足が移っていくことになろう。
 
◆足元の景気について、小売売上は底堅い一方で、固定資産投資は減速している。今後は、インフラ投資と不動産開発投資の減速による固定資産投資の鈍化が想定されるが、サービス消費を牽引役に消費が景気を下支えることで、大きく下振れするリスクは低い。中国の実質GDP成長率は2017年1月~3月の前年同期比6.9%を当面のピークに緩やかに減速しよう。(情報提供:大和総研)(写真は、経済特区に指定されている深セン市のショッピングセンター『万化広場』の様子。写真提供:(C)TEA/123RF)