中国の銀行業監督管理委員会(銀監会)は、レバレッジ投資などで拡大するインターバンク取引の抑制を銀行に対し要求した。その結果、SHIBORや債券利回りが上昇しているという。大和総研の金融調査部研究員、矢作大祐氏は6月1日、『中国:「脱実向虚」に対する対策を強化』と題したレポート(全11ページ)を発表し、中国のインターバンク取引について考察した。レポートの要旨は以下の通り。

◆中国において、良好な資金調達環境を背景に、実体経済だけでなく、非実体経済にも多くの資金が流入してきた。非実体経済への過度な資金流入は、金融・資本市場にショックが発生した際に、金融機関等の脆弱性を高める。そのため、足元、中国当局も「脱実向虚(実体経済から脱し、非実体経済へと向かう)」への警戒心を強めている。

◆このような中、中国銀行業監督管理委員会(以下、銀監会)は、3月末より銀行に対する規制・監督強化を立て続けに打ち出した。銀監会は、銀行によるインターバンク取引の増加が、レバレッジ投資や銀行間の持ち合いなど「脱実向虚」を増進させ、金融リスクを高めたと認識し、銀行に対してインターバンク取引の抑制を要求した。

◆インターバンク取引を通じた銀行の過度なリスクテイクが是正されれば、銀行の健全性を高め、中国全体の金融リスクの低下が期待できる。他方で、銀行がインターバンク取引の縮小に向かった結果、インターバンク市場や、調達した資金の運用先であった債券市場への資金流入が細り、SHIBORや債券利回りの上昇につながっている。今後、中国人民銀行や銀監会がいかに市場とコミュニケーションを図り、「脱実向虚」をソフトランディングさせることができるかが注目されよう。(情報提供:大和総研)(写真は北京の金融街、提供:(C)Zhang Yongxin/123RF)