ドル円は東京市場の流れを受け110円67銭まで売られたものの勢いは無く、110円台後半まで戻す。PCEデフレータの上昇率が鈍化し、株安、金利低下にもかかわらず下値の底堅さも見せる。ユーロドルは東京時間に1.11台前半まで下げたものの、その後はドイツの5月のインフレ率が低下したこともあり反発。1.12台に乗せる場面もあったが、ECBの金融政策を見極めながら、落ち着きどころを探す展開。

 株式市場は下落。原油安からエネルギー株が下げ、S&P500は8日ぶりに反落する。債券相場は続伸。目立った材料はなかったものの、海外からの資金が10年債と30年債を押し上げた。長期金利は2.21%台へと低下。金と原油は揃って下落。


3月ケース・シラ-住宅価格指数  →   5.89%

4月個人所得  →  +0.4%

4月個人支出  →  +0.4%

4月PCEコアデフレータ  →   +1.5%

5月消費者信頼感指数  →   117.9

ドル/円110.67 ~ 111.25

ユーロ/ドル1.1154~ 1.1206

ユーロ/円123.72~ 124.39

NYダウ  -50.81 → 21,029.47

GOLD  -5.70 →1,265.70ドル

WTI  -0.14 → 49.66ドル

米10年国債  ―0.037 → 2.210%


本日の注目イベント

日  4月鉱工業生産
中  中国 5月製造業PMI(速報値)
中  中国 5月非製造業PMI(速報値)
独  独5月雇用統計
欧  ユーロ圏4月失業率
欧  ユーロ圏5月消費者物価指数(速報値)
英  英4月消費者信用残高
米  5月シカゴ購買部協会景気指数
米  4月中古住宅販売成約指数
米  ベージュブック(地区連銀経済報告)
米  カプラン・ダラス連銀総裁講演
加  カナダ3月GDP
加  カナダ1-3月期GDP


 4月の米PCEインフレ率はFRBが目標としている2%には届かず、前年同月比+1.7%でした。コア指数も予想を下回る1.5%で、これで2カ月連続で上昇が鈍化したことになります。PCE物価上昇率は、今年2月には2.1%と、5年ぶりに2%を超えたものの、その後は上昇率が鈍化しています。

 FRBものこの物価上昇率を利上げする際の一つの判断基準にしており、利上げ観測にややブレイキがかかった様ですが、6月の利上げに重大な影響を与えるほどではないと、個人的には思っています。因みに、金利先物市場から想定できる6月の利上げ確率は、直近で90.6%と依然として高水準を維持しています。市場参加者の多くが6月の利上げは「確実」と予想していることになります。

 ドル円は昨日の東京市場の朝方から111円をしっかり割り込み、下落に勢いが付きました。ユーロ円や豪ドル円が急速に値を下げ、クロス円主導の円買い進んだ模様です。ユーロ円は123円台前半まで下げ、豪ドル円も82円割れ目前まで売られましたが、ドル円も下値のメドと見られていた110円80-85銭を割り込みました。ただそれでもドル下落の勢いは鈍く、NY市場でも110円67銭までドル売りが進んだものの、一時は111円25銭までドルが買い戻される場面もあり、ドルの上値が重い中、ゆっくりとしたペースでドルが下落している状況です。

 ドル円はレンジの下値を若干割り込んできましたが、上述のようにそれでも勢いはありません。110円を割り込むようだとやや市場の雰囲気も変わってきて、円の先高感も醸成されるとみていますが、そこまでドルが売られるかどうか不透明です。金曜日には5月の雇用統計が発表されますが、ここが一つのきっかけにはなろうかと思います。

 朝鮮半島情勢は依然緊張が続いていますが、不透明さは変わりません。加えて、ロシアゲート問題でトランプ政権そのものにも不確実性が増して来ました。欧州でも、イギリスのメイ首相はEUからの離脱の手続きの遅れがあれば、その前にも離脱はあり得ると述べています。また、ギリシャの債務問題も再び混沌としてきました。そのためECBの金融政策も、大きな変化が見られるという見方が強まっていながらも不透明です。さらに為替に直接影響を及ぼすとも思えませんが、安倍内閣も「加計問題」で、今後の進展によっては政権維持に影響が出てくる可能性もあります。

 このように為替を取り巻く環境には濃い霧が立ち込めており、なかなか視界が開けてこない状況です。ポイントは米国が年後半にかけて何回利上げが出来るのか。そのドライバーとなるトランプ政権の経済政策がどの時点で実施されるのか、という点につきると思います。本日のドル円は110円30銭~111円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)