TAC <4319> は「資格の学校」運営を主力に、M&Aも活用して教員、医療、介護、語学など新領域への事業展開を強化している。18年3月期は2桁営業増益予想、そして連続増配予想である。株価は4月の直近安値から切り返して年初来高値に接近している。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。
 
■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営
 
 財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。
 
■M&Aも積極活用して新事業領域への展開を強化
 
 中期成長に向けてオンライン教育サービス(Webなどの通信系講座)や、M&Aも積極活用して教員、医療、介護、語学など新領域への事業展開を強化している。
 
 13年12月増進会出版社(子会社のZ会が通信教育事業などを展開)と資本業務提携し、14年8月増進会出版社が第2位株主となって資本関係を強化した。
 
 14年6月クボ医療(兵庫県加古郡)と医療事務スタッフ関西(兵庫県神戸市)を子会社化、14年11月関西4校舎で「医療事務講座」開講、14年12月子会社TAC医療事務スタッフ(17年2月TAC医療に商号変更)を設立して関東エリアでも医療事務スタッフ派遣事業や診療報酬請求事務請負事業を開始した。
 
 14年11月トーハン・コンサルティングと業務提携、15年1月トーハン・コンサルティングの介護系資格取得教室を主要校舎において「介護教室ケアマイスター TAC教室」の名称で開講した。
 
 15年3月一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)公認で、日本初の大規模公開オンライン講座提供サイト「gacco(ガッコ)」に対して無料の実務・資格講座の提供を開始、15年4月日本商工会議所と連携して「高等学校日商簿記学習支援プログラム」を開始した。
 
 15年7月TMMCと資本業務提携、15年9月パイプドビッツと協業で「ストレスチェック義務化トータルソリューション」サービスの提供を開始、16年4月旅行ガイド本シリーズ「おとな旅プレミアム」を発刊した。17年2月子会社TAC医療事務スタッフの商号をTAC医療に変更した。
 
 17年4月には新しい検定試験創設と対策講座開講を発表している。企業人材・企業経営アドバイザー検定(仮称)の第1回試験を17年12月実施予定で、対策講座を19年5月開講(予定)する。
 
■四半期業績には季節変動要因
 
 四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。
 
 また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。
 
■17年3月期は2桁営業増益
 
 5月15日発表した前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比2.2%増の204億40百万円、営業利益が同17.7%増の7億13百万円、経常利益が同9.0%増の6億92百万円、純利益が同2.3倍の4億90百万円だった。純利益は税務申告ソフト「魔法陣」総販売代理店契約の解約に伴う受取和解金の計上なども寄与して大幅増益だった。
 
 法人研修事業が「魔法陣」取り扱い終了の影響で減収だったが、主力の個人教育事業が堅調に推移し、出版事業の好調や人材事業の拡大も寄与して増収だった。利益面では個人教育事業が講師料、教材制作のための外注費、および賃借料の減少など営業黒字化し、全体として2桁営業増益だった。
 
 差引売上総利益は同3.5%増加し、差引売上総利益率は39.9%で同0.5ポイント上昇した。販管費は同2.3%増加したが、販管費比率は36.4%で同横ばいだった。営業外収益では投資有価証券運用益が減少(前期20百万円、今期7百万円)した。特別利益では受取和解金1億20百万円を計上し、特別損失では減損損失が減少(前々期1億06百万円、前期3百万円)した。
 
 ROEは10.3%で同5.5ポイント上昇した。自己資本比率は22.5%で同1.5ポイント上昇した。配当は同2円増配の年間4円(第2四半期末2円、期末2円)とした。配当性向は15.1%である。
 
 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、個人教育事業は売上高が同1.2%増の124億81百万円で営業利益が1億72百万円(前々期は99百万円の赤字)、法人研修事業は売上高が同6.4%減の41億56百万円で営業利益が同8.1%減の11億10百万円、出版事業は売上高が同20.7%増の33億35百万円で営業利益が同4.7%増の6億41百万円、人材事業は売上高が同15.1%増の7億18百万円で営業利益が同4.3倍の92百万円だった。
 
 なお受講者数は、個人受講者が同1.6%増の13万8230人、法人受講者が同5.9%増の7万3584人、合計が同3.1%増の21万1814人だった。分野別に見ると、情報・国際・医療・福祉・その他分野が11.1%増、財務・会計分野が8.0%増、金融・不動産分野が5.7%増、公務員・労務分野が1.4%増となった。経営・税務分野は4.8%減、法律分野は7.6%減だった。
 
 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期57億25百万円、第2四半期50億99百万円、第3四半期45億78百万円、第4四半期50億38百万円、営業利益は7億55百万円、2億24百万円、3億62百万円の赤字、96百万円だった。
 
■18年3月期も2桁営業増益で連続増配予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は売上高が前期(17年3月期)比2.3%増の209億円、営業利益が同13.6%増の8億10百万円、経常利益が同12.6%増の7億80百万円、純利益が同10.2%減の4億40百万円としている。配当予想は同1円増配の年間5円(第2四半期末2円、期末3円)で予想配当性向は21.0%となる。
 
 純利益は特別利益が一巡して減益予想だが、各事業とも堅調に推移し、適切な経費コントロールも寄与して2桁営業増益・経常増益予想である。差引売上総利益率は同0.2ポイント上昇の40.1%、販管費比率は同0.2ポイント低下の36.2%の計画としている。
 
■株価は年初来高値に接近、割安感も見直し
 
 株価の動きを見ると、地合い悪化が影響した4月の直近安値205円から切り返して2月の年初来高値239円に接近している。
 
 5月29日の終値231円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS23円78銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS267円76銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約43億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線を回復した。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)(イメージ写真提供:123RF)