大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は5月26日、「中国経済:千年の大計「雄安新区」はうまくいくのか?」と題したレポート(全4ページ)を発表した。河北省保定市に新設されることが決まった「雄安新区」は、広東省の深セン経済特区、上海浦東新区に比肩する中国の「千年の大計」といわれる計画だが、党・政府主導で進められることになったハイテク経済特区の成功は、「相当なチャレンジ」と評した。レポートの要旨は以下のとおり。

◆中国共産党と国務院(内閣)は2017年4月1日に、河北省保定市の雄安新区の設立を発表した。雄安新区は、鄧小平氏主導の広東省深セン経済特区、江沢民・元総書記主導の上海浦東新区に比肩する、中国の「千年の大計」、「国家の大事」と位置付けられている。

◆中国社会科学院によると、雄安新区は伝統的な製造業を誘致せず、新世代情報技術や無人化技術といったハイテク技術を生かした産業と、それを支える研究機関、大学を誘致するとしている。先端産業や研究機関を誘致し、環境共生型の未来型都市を建設するというコンセプトは、日本で言えば、筑波研究学園都市に近いイメージなのではないか。

◆雄安新区は、世界的大都市に変貌した深セン経済特区や上海浦東新区のような成功が保証されているわけではない。かつてのような地域的な優遇税制は終了しているし、雄安地区に先端産業や研究機関、大学等が集積する誘因は、「習近平総書記が主導する」という部分に多くを依存せざるを得ない。しかし、「党・政府、国有企業主導」と「イノベーション主導のハイテク・先端産業の発展」が両立できるかは疑問である。現在のハイテク産業とイノベーションの中核都市としての深セン経済特区の成功は、政府・国有企業の関与が小さく、自由度の高い民間企業が主導していることが主因の一つであることを考えると、インフラ整備一巡後の雄安新区の成功は相当なチャレンジだと思えるのだが、どうであろうか? (情報提供:大和総研)(写真は上海浦東地区、(C)Yulia Zhukova/123RF)