ドル円は急落。トランプ大統領を巡る疑惑が増し、政権に対する不透明さが広がったことで、一気にリスクオフモードに。株価が大きく売られ、金利も急低下したことから円を買う動きが広がる。一時は110円79銭まで円高ドル安が進み、この日の安値圏で引ける。ユーロドルも続伸。ドル全面安の展開からユーロは1.1162まで上昇。株式市場は全面安。トランプ政権の不透明さからダウは前日比372ドル安。S&P500とナスダックも大幅安となりなり「VIX指数」は15.6近辺まで急上昇。債券相場は大幅に続伸。リスクオフが加速したことで、安全資産の債券が急騰。長期金利は前日比10bp以上も低下し、2.22%台に。金は大幅に上昇し、1258ドル台に。原油も反発し49ドル台を回復。

ドル/円110.79 ~ 112.35

ユーロ/ドル1.1102~ 1.1162

ユーロ/円123.53~ 124.86

NYダウ  -372.82 → 20,606.93

GOLD   +22.30 →1,258.70ドル

WTI   +0.41 → 49.07ドル

米10年国債  -0.101 → 2.224%

本日の注目イベント

豪   豪4月雇用統計
日   1-3月期GDP(速報値)
欧   ドラギ・ECB総裁講演
英   英4月小売売上高
米   新規失業保険申請件数
米   5月フィラデルフィア連銀景況指数
米   4月景気先行指標総合指数
米   メスター・クリーブランド連銀総裁講演
        
 昨日この欄で、「トランプ氏自身がリスクです」という言葉を使いましたが、昨日のNY市場では、トランプ氏とロシアとの疑惑が世界の金融市場を動揺させ、リスクオフが一気に高まりました。

 NYダウは前日比372ドルの大幅安で取引を終え、安全資産の債券は急騰し、同じく安全通貨の円が買われました。前日113円台だったドル円は、110円79銭まで円高が進み、ドル全面安の中、円は主要通貨に対して大きく買われています。市場の恐怖度を測る「VIX指数」も昨日は「16」近辺まで上昇し、恐怖のメドとされる「20」に近付いてきました。

 市場が一気にリスクオフに転じた直接の理由は、トランプ大統領がコミーFBI長官解任前に、同氏に対してフリン大統領補佐官を対象とした調査の中止を求めていたとの報道でした。(ブルームバーグ)今後の展開次第では弾劾という可能性も出てきており、トランプ政権の柱である税制改革やインフラ投資の実現が大幅に遅れる可能性もあります。

 また、確実視されている6月利上げも怪しくなって来ました。現時点でも6月利上げは規定路線だとは思いますが、金利先物市場から想定できる利上げの確率は急低下し、直近では「62%」まで下げています。もともと1-3月期の経済データを見る限り、暗雲が立ち込めていましたが、FOMCではそれを「一時的なもの」との判断を示し、米景気の先行きには楽観的な見通しが優勢でした。ここに政治的リスクが立ちはだかり、今後も軟調な経済データが示されるようだと、利下げ→金利上昇→日米金利差拡大→ドル高といったシナリオが崩れることも考えられます。

 5月のGW辺りから上昇傾向を強め、114円台前半を何度か試したドル円でしたが、115円に乗せるには、さらなるドル買い材料が不可欠とのスタンスを取ってきましたが、昨日からの一連の流れで、110円割れのリスクも高まって来ました。今後の進展にもよりますが、基本的には110-115円のレンジ相場だと見ています。上述のように、6月利上げの可能性がなくなるようだと、話は違ってきますが、今後もトランプリスクには注意が必要です。

 下値のメドを確認すると、4月の底値である108円13銭から、先週の高値である114円37銭までの値幅をフィボナッチ数列で見ると、50%戻しが111円25銭となりますが、この水準は既に達成しています。61.8%戻しが、110円51銭となり、今朝方110円54銭あたりまでドル売りが進み、その後111円近くまで反発しています。やはりこの水準が意識されたものと見られます。従って、メドとしては110円台半ばと、やはり大台の110円ということになろうかと思います。本日は日経平均も大幅安は避けられません。2万円の大台に「あと2円」まで迫った株価でしたが、これでまた大台達成はしばらくお預けです。

 本日は300~500円程度の下げを見込んでいますが、実際にはそれ以上の下げになるのか、それとも300円以下の下げで収まるのかを見たいと思います。予想レンジは110円20銭~111円50銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)