3月15日まで開催された中国の全人代では、今年のGDP成長率目標を6.5%程度とすることが示されたが、中国の消費減速は傾向的に続いている。その減速を補うように、政府・民間資本提携(PPP)による投資が盛り上がっているという。大和総研経済調査部の主席研究員、齋藤尚登氏は3月17日に「中国:消費が減速するなか、経済安定は投資だのみ」と題したレポート(全8ページ)を発表し、投資によってイノベーションが喚起されることに期待したいとした。レポートの要旨は以下の通り。

◆2017年1月~2月の固定資産投資は前年比8.9%増(以下、断りのない限り前年比)と、2016年の8.1%増から上向いた。なかでもインフラ投資は2016年の15.8%増から2017年1月~2月は21.3%増へと伸びが加速。同投資は国有部門が中核を担うが、中国政府は2015年5月以降、政府・民間資本提携(PPP)による民間資本の導入を推進している。財政部によると、2016年末時点で契約済みのプロジェクトは1,351件、2.2兆元となり、このPPPプロジェクトが実施段階を迎えつつあることが、足元のインフラ投資のさらなる拡大に寄与している可能性がある。

◆2017年1月~2月の実質小売売上は8.1%増と、2016年の9.6%増から一段と減速した。排気量1.6L以下の乗用車の車両購入税半減措置の効果が剥落したことが、実質小売売上の伸びを抑制している。

◆2017年1月~2月の輸出(米ドル建て)は4.0%増、輸入は26.4%増と、それぞれ2016年の7.7%減、5.5%減からは大きく改善している。輸入急増は原油価格等の上昇によるところが大きい。1月~2月の貿易黒字は421億米ドルと、前年同期の849億米ドルから半減した。原油価格が昨年1月~2月の1バレル=30米ドル割れをボトムに同年6月初旬には50米ドルにまで急上昇したことからすると、前年比の上昇率は2017年1月~2月がピークとなり、その後は急速に落ち着いてくる可能性が高い。輸出と輸入の伸び率の差は縮小に向かい、貿易黒字の減少幅はより小さくなろう。

◆消費減速が続くなか、足元の中国経済は固定資産投資への依存が再び高まろうとしている。だからといって、過剰生産能力の削減が推進されている重工業分野の投資を増やすことは避けなければならない。重点はインフラとイノベーション関連投資である。3月の全人代における財政部の2017年の予算案報告では、後者に関連して、科学技術型中小企業の研究開発費用の加算控除の割合を従来の50%から75%へ引き上げることが発表された。イノベーションの牽引役となることが期待される民間中小企業向けの政策措置であり、今後の動向に注目したい。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:(C)Dmytro Ometsynskyy/123RF)